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パウリンの娘

パウリンの娘《第4章1》

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ザビーネが館に訪れたあの日から1か月が過ぎようとしていた。
ドレアスと名付けた仔馬は順調に成長しており、ローレライは離乳が始まる生後半年を待ってドレアスを連れて旅に出ようかと考えていた。
このままじっとなんてしていられない。
自分に課せられた使命が明確になった今、国の現状を考えれば何もせずに訪れるであろう時をじっと待つだけだなんて自分には到底耐えられない。
しかし、一人で旅に出るなんて幾ら寛容な両親でも許してくれるとは到底思えず、流石に自分でも無謀だと思う。
どうしたものかと考えあぐねていた。

兄のルシオンでも傍にいてくれればきっと協力してくれるに違いなかったが、今は父の代理として書状を託され、我王の反対勢力となる中心人物を探してずっと留守にしていた。
表立った協力は出来ないがイシュラルも想いは一緒だと・・・・。
イシュラルでは生活難民を受け入れる準備がされていた。


己の運命を受け入れてから、ローレライは眠りが浅くなったと自負していた。
いつも夜半過ぎに一度目が覚めると、首から吊るされたパウリンの入った絹袋をギュッと握りしめ確認し再びの目を閉じる。
ザビーネの話を聞いてからパウリンを肌身から離しておくことが不安になって侍女に頼んで首から下げられるようにして貰っていた。

“パウリンを失ってしまい自分が婚約者を探せなくなってしまったら・・・・”

いつもその不安がローレライを捉えて離さなかった。

再び、うつらうつらしていると厩舎から狂ったように嘶く馬のけたたましい鳴き声と山羊や鶏の悲鳴のような声に目が覚める。

「ギヒィヒーン!! ヒヒヒーン!!」

夜着のまま、急いで上に外套を引っ掛け部屋を飛び出した。

「お嬢様、いけません!!」

気付いた待女のメイテルに制止されるのも聞かずに階段を駆け降りると今度は、執事のレムキンスにも止められた。

「お嬢様、なりません!!」

「離して!! あの子達があんなに騒ぐなんてありえない事だわ。きっと何かあったのよ!! 急いで行ってあげないと!!」

「お気持ちはお察し致しますが、賊かもしれません! 先程自室から厩舎を伺いましたら微かに人影が見受けられました。今出ていくのは危険です!」

きっぱりそう言い切るとレムキンスは玄関に仁王立ちして両手を広げ梃子でも動かない。

そうこうしている内に他の使用人達や両親もやってくる。
皆に制止され、ローレライは出る機会を失った。

“お願いだから皆無事でいて・・・・”

ローレライは両手の指を交差に組んで、唯々神に祈るしかなかった。

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~ Comment ~

NoTitle 

わ!何事でしょう?
展開が…楽しみです^^
旅も早く出なさい!といってやりたいわ(笑)

HANON.H様 

大変なことが起こってます!
これが無いと先に進めません。
旅立ちの日は近い!?(笑)

NoTitle 

意外に神は何もしてくれないものですけどね。
もっとも祈ることは大切だと思いますけどね。
どのような大物でも最終的にはゲンを担いだりするものです。

宮本武蔵曰く、「都合の悪いときだけに神に祈ったって何もしてくれない。毎日熱心に祈ってくれる奴の味方をする。だから、俺は祈らない。」・・と残っております。

LandM様 

いつも有り難うございます。
そうですね。祈ったところで何をしてくれると言うものでも無いと思いますが、思わず祈りたくなる時って誰でもあるとは思います。
この中では一般的には神を敬う気持ちがあるような設定のつもりでいます。
後々神殿や神官等も出てきます。
宮本武蔵の言葉、重みを感じますね。武蔵らしいです。
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