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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第12話(シルビア視点)

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旦那様の姿を見て少し安心したせいか、その後少しだけれど眠ることが出来た。
気分的にも今は少し落ち着いていて、吐き気は無くなった訳ではないけれど、嘔吐する程ではない。
水分は心がけて取ろうと思うものの、何だかいつも心地よく飲んでいる水の温度が生ぬるく感じられ、無臭のはずの水が何故か匂う感じがして気持ち悪くて飲めなかった。
冷たくすれば飲みやすくなると聞いたので、今冷やしてみて貰っている。

「奥様、昼食は如何なさいますか?」

「そうね……。まだ食べられる感じがしないのだけれど、でも食べたほうが……良いのよね?」

「先生は無理のない程度でと仰っておりましたので、先程先生の奥様からお教え頂いたレシピを参考に只今料理長に作らせておりますが、ご無理そうでしたらフルーツだけでもお持ちしてみましょうか? 処方して頂いた薬湯をとりあえず飲まれてみて、食べられそうであれば……、と言う事で」

薬湯は、どんな味がするのだろうか?
何かを口に含むのも戸惑われる気もするけれど、せっかく処方して頂いたお薬だ。飲まない訳にもいかない。
何よりこの症状が少しでも改善するのならば、飲んでみて試してみるのも悪くはないと思う。
だって、これ以上旦那様に、心配はかけたくない。

「……そうね、ではフルーツだけでも頂いてみようかしら」

「はい! では、早速お持ち致しますね」

侍女は嬉しそうに弾んだ声で厨房へと向かった。

本当は食べないで済めば食べたくはない。
先生もこの時期の子は私の食事に関係なく、水分さえ取れていれば大丈夫とは言ってくれた。けれど、子は私と臍の裏で繋がっていると言うのだから、少しでも私が何かを食べれば、よりこの子の成長に繋がる気がしてならない。ならば頑張ってみようという気持ちにもなる。

「ふぅ……」

軽くため息をつきながら、私は腹部に手を当てた。

「お母さま、頑張るから……」

話しかけるように言葉を口にした。


「奥様、薬湯とフルーツをお持ち致しました」

侍女の明るい声に顔をあげ、側にあるワゴンの中を覗き込み絶句した。

「……有り……がとう……」

薬湯らしき飲み物の横に並べられたフルーツの量は、半端ではなかった……。

「奥様? 如何なさいました?」

「これ……、量が……、かなり多くない?」

まるで今から茶会の席でも開くかのような、大皿に乗せられたフルーツの盛り合わせだ。
普段でも、こんなにはとても食べられない……。

「一度にお召し上がりになられなくても良いそうですよ。小腹が空いた毎にでも、少しずつ摘んで頂ければとの事でした。お食事をされないのであれば種類も多いほうが良いだろうと言う料理長の計らいで、わざわざ市場へ買い付けにも出られたそうでございます」

「……そう」

どうりで見慣れない果実も並んでいる訳だ。
気持ちは有り難い……。けれどまだ食べられるかも分からないのに、こんなに沢山盛られても困ってしまう。
残ってしまっても勿体ないし、後で旦那様にも食べて頂こうかしらと考えたけれど、それでもこんなには食べきれないと思う……。

とりあえず侍女が手にしている薬湯を受け取ると、それを目を瞑って一気に飲み干した。

「……奥様……如何でございますか?」

「……へいき……かも?」

かなり苦いのではないかと思っていたけれど、実際飲んでみると全然そんな事もなく、甘くもないけれど何かの樹液なのか根を煎じたものなのか?思いの外飲み易かった。
飲んだ直後から、少し胸に込み上げてきていたものが少しだけれど落ち着いてきて、何となくフルーツを摘んでみても良いかもしれないと思えて来た。
なのでとりあえず一種類ずつ端から順に口にしてみる事にした。

おそるおそる手を伸ばし、匂いを嗅ぎながら大丈夫そうと思えるものを、口に運んでみる。
とりあえず、臭いでOKだったフルーツは、問題なく口まで運べた。けれど今までのように、美味しいという味覚を持てる食材には中々巡り合えない。

「良く妊婦は好んで柑橘類を食べられる方が多いと聞いた事がありますが……」

「柑橘類?」

半信半疑に思いながらも、おそるおそる目の前の黄色やオレンジ色の果肉に手を伸ばし口にしてみれば、確かに最初の口当たりはすごく良かった。
それでついつい幾つかの柑橘類を好んで摘み続けて食べていたら、食べすぎたのか?その内せり上がって来るものがあり、1時間ほどして結局は嘔吐してしまった……。
その時食べられても、後で具合が悪くなっては意味がない。
それでも口にすることはできるので、その後も様子を見ながら幾つかの種類で試してみたら、ついに私にあっている食材に巡り合った。

「この……、あまり見たことのない薄緑の果肉は何の実なの?」

「確か隣国の果物で甜瓜とか言う名だったと……」

それも何種類濃い色のものとか、色々あったが私には一番薄い色の甘みも濃くないその甜瓜と言う果物が一番あっている事に気が付いた。
それ以後少し胸にせり上がるものを感じた時に2、3切れ口にすると、症状が左程悪化しないような気がする。
最初は料理長の心遣いに有り難く感じつつも、少しやりすぎではないかと思っていたけれど、今となっては色々な果実を集めてくれたことに感謝したい気持ちでいっぱいだ。

「不思議ですわね。悪阻って。人によっては嫌いなものが食べられるようになる方もいるようですし、奥様の場合は初めての果実……ですか」

「そういえば、このローゼリアン伯爵家の先々代の奥様が、確か隣国のご出身だったと……。まさかその事が関係していると言う事は……?」

「さあ、如何かしら?」

そのような話は聞いた事が無いけれど、その事に関連性があるのら、この子は私よりも旦那様の血を色濃く受け継いで生まれて来るのかしら?
お腹に手を当てそっと撫ぜてみる。
まだ膨らんでもいない小さな命だけれど、ここに居ると思うだけで愛しくて仕方がない。
食についてはこれから色々とまだ変わってくるかもしれないけれど、一つのきっかけを掴めたような気がして、私はその事に少しだけ安堵した。

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~ Comment ~

NoTitle 

ふうむ。この時期はご飯とかにも気を遣わないといけないから大変ですよね。
最近ではどの食事が良いとかい色々分かって来てますからね。
その分だけ、色々注意しないといけなくて、大変だなあ。。。
・・・と思います。
私は食事制限だけはしたくないですねえ。。。
( ̄д ̄)

LandM様 

今晩は。
私は水も飲めなくなってつわりで入院した口なので、少しでも食べれる人が羨ましい(笑
現在うちは父が腎臓悪くて食事制限中ですが、肉&魚が1日30グラムとか、塩分2グラムとか、料理する方も大変そうです。
食事制限は、私もしたくないですね。
多くは食べたくないですが、普通にはやはり食べたいですものね♪

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