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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第14話

 ←ずっと心に決めていた《197.前 触》(アレク視点) →新作『婚約者候補筆頭なんて知りませんッ』恋愛大賞にエントリーしました。
宵の口を過ぎ、夜勤者との引継ぎを済ませ、私は騎士団詰所にある自室で昨夜の業務報告書類に目を通し、各省から依頼された来月の護衛対象者の計画案を立てていた。
本日の報告書はまだグレンの連隊分だけが上がって来ておらず、目を通せぬままでいた。
いつも提出するのが一番早く、速攻で帰る奴なのに、一体如何した事なのか?

「珍しいですね。マグリニー連隊長がこうも遅れるとは」

「そうだな」

流石にいつも側に居るだけあって秘書のモルダーもその事は不思議に思っているようだ。
昼間の奴の私に対する何処か気怠そうな態度は、何も知らぬ外部の者が見れば報告書を翌日に回し既に帰宅していると言う考えを持つこともあり得る状況だったと思う。だが、私から言わせてもらえば、奴に関してだけは、それは有り得ないと思っている。
奴はどんなに女にうつつを抜かしていても、家で何が起ころうとも今まで遅刻はおろか書類の提出に関する不備などを一度もしたことが無い。よってこの状況で奴が業務報告書を放置したまま帰宅すると言う考えは頭に無かった。
私の考えは奴は今、何かの理由でここに来ることが現在叶わぬ状況と言うのが正しい判断だと思っている。
私に思う所があり、奴が逃げる気ならば今日ここに来る筈もない。
奴が来た時点で私と今日、このような局面が待っていた事は示唆出来た筈。
ならば奴は今、一体何をしているのか?
元々何もせずに待つと言う事がと苦手な私は、結局まだ片付いていない書類の山に手を伸ばしながら奴の訪れを待っていた。
出来れば今日はこの山積みになった書類と格闘する気は無かったのだ。
自分が疲れていると言う事もあるが、何より具合の悪い妻が心配でならなかったから今日だけは出来るだけ早く帰宅したいと思っていた。
だがこの状況から行けば今日も午前様かもしれない……。
奴との話のケリがそう易々と終わるとは到底思えなかった。

「そろそろ10時か……。今日はもう上がってくれ。連日遅くまで済まないな」

「いえ、私の事はお気になさらずに。閣下」

奴がモルダーを受け入れてくれると言う話をしていたので、今日奴が訪れれば最初にその話をしようと思い今日も遅くまで残って貰っていた。
だが、時間もここまで下がってしまえばそれはまた。別の機会にと思っていた所に、運が良かったのかそれとも悪かったのか? 扉を叩く音がした。

「グレンソ・マグニリーです」

やっと来たか!

「入れ!」

私は持っていた羽ペンを机に置くと、腕を組み自室の扉に視線を向けた。



「失礼致します」

深々と頭を下げ、一応形だけは神妙な面持ちで入室してきた奴の後ろには、女人らしき人影があった。
かすかにここまで漂ってくる思い出したくもない悪臭に、私は思わず顔を歪めた。

「同席者が居るようだな」

「こいつも同席してしかるべきだろう?」

「……そうだな」

形式的な挨拶は本当に最初だけで、グレンは私に報告書類をひらひらさせながら、後ろを振り返りつつ、その者に早く入るようにと促していた。

「離してよ! 自分で入れるってばッ」

不機嫌そうにグレンの腕を振り払おうとしている女の姿は、私には醜態にしか見えない。
女を見つめるグレンの表情はとても冷ややかだ。見るからに毛嫌いしているのが伺える。私の知るこの女とグレンの関係は、グレンがこの女に対し言葉巧みに誘惑している状況だったと思う。どちらかと言えば女はグレンに冷めていた。だが今の関係性はどう見ても双方良い状況だとはとても思えないものだった。

しかし、こういう者を連れているのであれば尚の事、モルダーとの話はまた別の日にと言う事が正しいだろう。やはり今日はこれで帰らせた方が良いと思い、モルダーにそれを促していたらグレンからそれを制された。

「いや、モルダーには居てもらった方が良い。本来は出来ればこの場にマゼレーゼにも同席してもらっても良かった位なんだが、今は彼女も大変そうだし……、お前も今は会いたく無いのだろう?」

「当然だ。こちらも身重の身だ。妻の心の負担は最低限に留めてやりたいからな」

だから今のこの状況では、マゼレーゼにだけは会うことが許されないと私は思っている。

「だと言うと思った。だが実はな、直接的には関わりはいないが、間接的にはこの件にマゼレーゼも関わって来る所なんだ」

「それは……、如何言う意味だ?!」

まさかここでモルダーの従騎士の話以外の話で、既に私の中で終わった女の話が蒸し返されるとは思ってもみなかった。

「詳しく話せばかなり長い話になるから、掻い摘んで話すぞ」

「ああ」

どんな話が飛び出して来るのか?
私は耳をそばだてた。

「お前も薄々気づいていると思うが、そこに居るモルダーは、本当はマゼレーゼの実子だ。その事は軽く流して良いか?」

「……やはりな。そうでは無いかと感じることもあったから、私はずっとは側におけぬと思っていた……」

「だろうな。お前がモルダーの移動を考えていると知って、私もそれを感じた」

「お前はこの事を何時?」

「先日、マゼレーゼ本人から告白された」

「本人から?! お前、まだ元男爵夫人と会っていたのか?!」

マゼレーゼがプロムヴェザー男爵家を去ってから既にひと月にはなる筈だ。
それなのにグレンが彼女といまだに会っていると言う事は……。
それが意味することを導き出し、私がグレンを凝視すると、心なしか目を反らされた。

「もしやとは思っていたが、まさかお前が……、マゼレーゼの腹の子の?」

いや、全く考えない訳ではなかったが、これは何という皮肉な事なんだ……。
奴の妻は、確かグレンの婚外子はもう認めないと言っていた。
何となくだが、グレンが今回躍起になっていた全貌の一編が少しだが見えてきた気がした。

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年始のご挨拶で公開した予定通り、来月アルファポリス様主催の恋愛大賞に久しぶりに参加予定の為、2月いっぱいまで参加作品に重点を置きたいので「ずっと心に決めていた」「パウリンに導かれて」の連載を休載させて頂きます。
代替え作品として、暫くこちらの作品の掲載を再開させて頂きます。
参加作品はこちらの作品の次世代編となる予定です。
期日前になりましたら、正式に活動報告を書かせて頂きたいと思っております。
ご理解頂きますよう、宜しくお願い致します。
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~ Comment ~

NoTitle 

女に現を抜かす~~男が多いから。
世の中は大変なのであって。
それがないと。
人間じゃないような気がしますが。
まあ、仕事は仕事ですからね。
やらないといけないのですが(笑)。
(;一_一)

才条 蓮だって、女に現を抜かしているときは仕事したくないわ(笑)。

LandM 様 

今晩は。
女に現を抜かしているだけでなく、やらなければいけない事はきちんとするのが常識ある社会人(笑

ここではとりあえず、仕事を蔑にするような輩は出て来ないな。
損なの居たらクビです(笑

私もしなくても良いなら仕事したくないよ。
家事だけ担当したいけど、我が家の現状がそれを許さないから働いてるw

お互い仕事は仕事。頑張りましょうね(笑

いつもコメント有難うございます。
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