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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第15話

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グレンは深いため息をついた後、苦笑いを浮かべた。

「……状況から言って、それもあり得ると思っている」

「と言うと?」

「お前と完全に別れた後、マゼレーゼは少し情緒不安定に陥っていたと思う。俺を含めてお前とはかなり長い付き合いだったし、互いに蟠りなく深い関係になれる人間はマゼレーゼにとって精神安定剤的存在だったのかもしれない」

「精神安定剤的……存在?」

グレンの話は、最初内容が良く見えなかった。
一体何を言おうとしているのか?
 
「お前と別れてから最初に俺が訪れた日『貴方だけは私を裏切らないでね』等と言われた……。お前は俺らの中ではマゼレーゼとは、一番長く多くの関わりがあったからな。毎週会っていたのはお前だけだったらしいぞ。だから、それだけに執着もあったんだと思う」

「執着って……」

確かに長く続いている関係ではあったが、私は割り切って契約する婦人等と付き合ってきたつもりだった。だから私には執着と呼ぶようなものはもちろん無かったし、今更そのような事を告げられても困るばかりだ。
それに何を言われた所で、今の私には如何してやることもできない。
私には誰よりも……、何よりも大切な妻が既にいる!

「お前を紹介したのは元々俺だったからな。その話を聞いて少しだけ罪悪感を覚えた。だからそれからはお前の代わりに通う回数も出来る限り増やしたつもりだった。けど俺にも切れない関係の者は他にもいるからな。お前を失った穴を全て埋めるまでの事は出来なかったらしい。結果、マゼレーゼは他の若い騎士連中に救いを求めたようだった」

割り切った関係の中で相手の家庭的事情も考慮し、日々寂しい思いをしている夫人等と対等に付き合い慰めると言う紳士的対応をしている我らとは別に、最近では表面上紳士ずらを振りかざしながら、避妊の正しい知識も持たずに興味本位で関係を持とうとする若者もいると言う話はしばし問題になっていた。
その事は元男爵夫人も知って居た筈だ。
知っていてそう言う者等に関わったとすれば、今回の件は、関わった若い連中も悪いが元男爵夫人に落ち度が無かったとは言えないと思う。

「……なら、必ずしもお前の子……と言う訳ではやはり無いじゃないか」

「そうだな。だが、可能性は否定できない。回数は俺が一番多い」

「…………」

あからさまな言葉に、奴らしさを感じる。
グレン一人に責任を押し付けるのは少し違う気がするが、自身の子と確証がある訳でもないのに、ここまで元男爵夫人と関わろうとしているグレンの責任感は尊敬に値する所だ。
グレンは自身の子と言う可能性がある以上、何があっても逃げることはしない筈だ。
以前も……、今実子として迎えている婚外子も、確実にグレンの子と立証できるものは何処にもなかった。
だが産んだ女が我が子の風貌を見るなり明らかに夫の子ではないと認識すると、隣国に大使として長期滞在中だった夫には子は死産だったと訴えて、我らに責任を追及しようとする事もせずに親としての役割を放棄した。とある施設の前に捨てて来たのだ。
その話を後日聞いたグレンは、慌ててその子を引き取りに行った。
グレンは既婚者としては家族からしてみればどうしようもない部類に入る者かもしれないが、人間としては腐った奴ではない。誰よりも自身の行動を振り返り責任感を持つ事の出来るポリシーを持った遊び人だ。
おそらく奴には奴なりの美学のようなものが存在するのかもしれない。私には理解することのできない領域だが。
私の身にもしそのような事が降りかかったとしたら、独り身ならばまだしも結婚後であればそこまでは出来ただろうか?
もし妻に出会うことが無ければ、今グレンの身に起こっていることは私に課せられていたのかもしれないことでもあるのだ。
今となってはその可能性も全く有り得ないが、その事を思うとグレン一人をここで責める気にはなれなかった。
だから今回の件が、きわめて特殊な状況であった事は理解した。
だが、責められるべきは本来私だと言いたいのであれば、それは筋違いだと思った。
あの日、別れを切り出した時、マゼレーゼは笑顔で関係が終了することを了承してくれた。
最後にもう一度だけの関係を求められはしたが、勿論私はそれを否定した。それに対しても『私の誘惑に屈しなかった貴方はきっと良い夫になれるわ』と憂いを帯びた微笑を浮かべながらではあったが、一応祝福すらしてくれた。
あの時の彼女には、そんな寛容さがあった。だから、私は元男爵夫人の内に秘めたる想いに気づくことも無く去った。
それを好意的に受け止め、奇麗に関係を完全に終わらせられる事が出来たのだと解釈していたから……。

「何だ? その様子は『自責の念に囚われてる……』って感じだな。そこに罪の意識でも感じたか?」

「今更とはいえ、そのような話を聞かされれば、心穏やかではいられないさ。だがな、元々我等の関係は裏切るとか裏切られるとか、そういう関係では無かった筈だ。私はそのように理解している」

敢て私は、明確なる自身の主張を避けた。
罪の意識を感じている訳ではないが、少々考えさせられる事態であることは確かだ。
元々最初に交わした契約では、いつ別れを切り出しても問題のない関係だった筈だから、この件に関してはやはり今更私が口を出す私問題ではないと思いつつも……。

「そうだ。だから何も聞かなければ俺もお前を再び取り込もうとまでは思わなかったさ。だが、マゼレーゼに関してだけは、流石の俺も同情心を拭い切れない……。今度こそは幸せになってもらいたいと思った。だからお前にも協力をして貰うつもりだった」

元男爵夫人の精神的事情があったにしても、こいつがここまで一人の女に肩入れするのは珍しい。
それだけに、その事が気になって仕方なかった。
今回の件には更にもっと、奥に何か深いものがある!
そう思った……。

「お前にそこまでさせるものは何なんだ?」

グレンを強い眼差しで見据えた。

「過去の事だがな、かなり卑劣極まりない事があったらしい。最初はひた隠しにしていたが、息子の事を問い詰めたらお前や俺に必要以上に執着していた経緯を話してくれた。マゼレーゼが今まで我等に執着していたのは、護衛騎士と言う肩書があったからだ」

「息子?! ……まさかそれって……」

全く可能性がないと思って居た訳ではないが、グレンの何処か遠回しにも似た言い方が、全てを物語っていた。
その事である事が頭をよぎる。
まさか、そのような筈はと思いながらも……。

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~ Comment ~

NoTitle 

お。
久々の涼音さんのブログ小説更新!!
(∩´∀`)∩

ま。
妊娠って色々ありますわね。
特に男ってやつは。
下種の勘繰りっていうのがありますからね。
「本当に自分の子ども?」
とか考えるのもあまりよくないのですがね。

なんで、子どもが生まれるのを素直に祝福できないのかね。
( 一一)

LandM様 

今晩は。
ホントに色々な方、色々な経緯がありますからね。
人それぞれ考え方も違うと思いますが、やるからには責任が伴う状況もありえるという事を、各々に肝に銘じて頂きたい。
とはいえ、どの世界にもどうしようもない輩が居るんですよね^^;
色々ある奴ですが、あんな輩の前ではグレンはある意味立派に見えて来ます(笑

いつもコメント有難うございます^^/
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