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ずっと心に決めていた

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第16話

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グレンは私から視線を反らすと、モルダーに目を向けていた。

「お前は実の両親の事を何処まで聞かされている? 我らの話を冷静に捉え、神妙な眼差しを向けている所を見ると、ある程度の事は知っていたのだろう?」

「……はい。7歳の時にある事がきっかけで、戸籍上の両親が実は養父母であると言う事を知りました。ある理由で一度死んだ事になった妹の子を、生後2か月の時に実子として迎え入れたのが私だと……」

「一度死んだ事にさせられたのか?!」

なんて姑息な奴なんだ!
プロムヴェザー男爵は、自身の女遊びは棚に上げて、体裁をかなり気にする者だと言う話は元男爵夫人から聞いていた。だから我らとの関係はいつも同じ契約を結んでいる別の夫人の屋敷や別邸等で行われることが常だった。外出の名目に仲の良いとされる夫人が絡めば夫の留守に頻繁に外出した所で屋敷の者達からも左程疑われることは無い。だから今回の出来事には屋敷の者達にとっては寝耳に水の話だったに違いない。結果として今回主不在中に起こってしまった夫以外の子を夫人が懐妊してしまったと言う不祥事に、長年勤めて来た執事は自ら職を辞したと言う。夫人とはそのまますぐに離縁の手続きが進められたそうだ。そして驚くべきは更にその一月後、男爵が自身にとって4人目となる妻を娶ったと言う事だ。その者は男爵のかつての愛人の一人ではないかとの噂だが、真実は定かではない。だが、今度の奥方もかなり若い者らしく、確かまだ成人して数年だろうとの事だ。既に式も盛大にとり行なわれており、最近の社交の場では夫人等の、噂話の種のひとつになっていると聞く。おそらく悪しき前妻との噂を封じる為に、敢て派手な祝事を開いたのだろうが、確か男爵は既に60を超えて居た筈。人の結婚に口を挟む気は無いが、本当によくやる……。
しかしモルダーがただの養子縁組ではなく、実子として姉が妹の子を戸籍に入れていたと言う経緯からすると、かつて男爵は体裁を取り繕うための手段を高じたことが考えられる。婚姻に至るまでの詳しい経緯は推測の範囲を超えないが、今回の夫人には前夫人のような、不幸な強行手段が行われていない事を祈るばかりだ。

「実の両親ではないと聞かされた当初は、本当にショックでした。ですが私は本当に今の両親には良くして貰っていました。ですから本当の両親を探す気は有りませんでした。ですが成長するにつれ段々とその事が気になり始めたのです。ある日勇気を振り絞って聞いてみましたが簡単には教えてはくれませんでした。何度聞いてもそれは同じで……、ですが13歳の時に、領主様の護衛として訪れた、ある騎士の姿に私が見惚れてしまい、将来護衛騎士になりたいから王都に出たいと申しした所『血は抗えないな……』と呟いて、本当の父の事を話してくれました。私の実の父は、既に亡くなっていますが、勇敢な護衛騎士だったと……」

「それが、お前が何としても護衛騎士に拘る理由か?」

「はい……、最初はただの憧れでしたが、今は違います。私は、亡き父の後姿を追ってみたいのです!」

理由を知り、何としてもモルダーを立派な護衛騎士に育て上げてやりたいと言う思いが強くなった。
私自身、代々続く護衛騎士の家系と言うのもあったから必然的理由もあったが、在りし日の父の姿に憧れて、私もこの道を歩みたいと自らが選んだのも事実だった。

「母親の事は?」

「母については生きているとは知らされたものの『詮索するな』と言われ続けました。ですが15の年、田舎を出て騎士の修行に王都へ行く事になり『領主様の奥方に推薦状を書いて貰える事になったから……』と母より告げられ、プロムウェザー男爵家に、指定された日時に書類を受け取りに伺いました。その時、私の記憶の中では初めてお会いしたはずの男爵夫人のお姿が、とても懐かしく感じられ……、夫人は私の姿を見るなり涙ぐまれていて……。如何したのかと尋ねましたら『私の初恋の騎士の姿にあまりにも良く似ている事が嬉しくて……』と一言だけ申されました。私はその時、漠然と『この人がきっと私の実の母なのではないのか?』と思いました。後日、田舎の母を問い詰めた所、その夫人が自分の妹だと教えてくれました」

「……自分を捨てた母を恨んではいないのか?」

「プロウェザー男爵邸を訪れるまでは、私は実の母に対し憎しみにも近い感情を持ってずっと過ごしていました。ですがあの時の……、母の涙ぐむ姿を見て、母は私が憎くて捨てたのではないのだと言う事を悟りました。その後田舎の母から、実の母は私を守る為に男爵家へ嫁いだのだと聞かされ、私を手放さねばならなかった経緯も知る事となりました。ですから今は実の母に感謝こそすれ微塵も恨む気持ちはありません。お二人に対しては、少なからず最初は思う所もありましたが、今では母の心の支えになって頂いている事を知っています。騎士としてのお姿は勿論尊敬してもおりますし、私の目標でもあります。感謝こそすれ、疎いと思うような事は一切ありません!」

「参ったな……」

元男爵夫の事についてはさておき、実の母との間で、このように乱れた関係を長年続けて来た我らに対し、何を持ってすればそのように寛容な眼差を向け、理解することが可能なのか?
その事だけは全く我が許容範囲を超えていた。
私ならば、到底理解できない。
モルダーは年齢よりかなり大人びているし、寛容さも持ち合わせている優れた青年だが、これはあまりに出来すぎだろう?!

「モルダーの気持ちが、理解できないって顔してるな」

「当然だ。分からない事だらけだ。もっと詳しく話せ! こんな……、我らとの関係を知り得た上で、こちらに都合のいい解釈が出来る10代の息子なんて普通有り得ないぞ」

「だよな。でも、普通の状況じゃなかったから仕方ない」

「……どういう事だ?」

漠然と、何かあるとは感じてはいたが、それが何なのかを知る為に、私は更なる自身の権利が振りかざした。
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~ Comment ~

NoTitle 

離婚って。
確かにあんまり考えたことないけど。
家族も関与するわな。。。
( 一一)

離婚って結構エネルギーいるよね。
こっちの家族もあっちも家族も。
色々巻き込んでの離婚だから。
なかなか難しいよな。
特に日本だと。

LandM様 

今晩は。

離婚って、かなりエネルギー使うと思います。
環境の変化と言うのが確か「うつ」になる原因にあって、その最たるが、結婚、離婚、死別って以前聞いたことが……。
うちの職場、離婚者多いんですが、みんな結構大変だったらしいから^^;w

いつもコメント有難うございます^^/
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