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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第20話

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そんな個人的理由で、あんな大それたことをしでかしたのか!?
呆れ返ってものも言えない!

「元々お前は俺のように割り切れるタイプじゃないと思っていたんだ。だから念押ししたのに……」

「どういう事だ?」

「お前、家族を大事にするタイプだろ?」

「はあ?!」

家族と言われても、当時の私には家族と呼べるべき者は既に居なかったが?

「色々愚痴を言いながらも、親戚だのなんだのに随分振り回されていただろう? 結婚したら妻を愛おしく思う思わぬに関係なく、絶対家庭に趣を置くタイプだと、俺はずっと危惧していた」

確かに亡くなった父の妹たち……、叔母が小さな娘たちを連れて久方ぶりに実家に戻って来ると言えば、家長として早く屋敷に戻るようにはしていたし、従妹たちともそれなりの関わりを持つようにはしていたが、それ位誰だってする事だろう?

「いや、だがそれは普通……」

「俺はそれぐらいの事で、通う女との大切な予定を変更したりはそもそもしない。だからお前の結婚が決まった時に念を押したんだ。その時お前は俺に何と言った!?」

確かに、自分がこれ程までにひと回り以上年の離れた娘に振り回されるようになるとは思っても居なかったから……。

『小娘のお守りは御免だからな。結婚休暇位は付き合ってやってもいいが、それが終わればいつも通りだ。今までの肌に馴染んだ生活を簡単に捨てる気は全く無い!』

そう断言した記憶がある……。

「……あれは、撤回する……」

「状況は、変わらないんじゃなかったのか!?」

「変わるつもりは無かった。だが……、すまなかった……」

自然と頭を下げていた。

「……お前が俺に頭を下げるとか、有り得んな……」

「……私も今、驚いている……」

コイツにだけは頭を下げる等御免だとずっと思っていた筈なのに、素直に謝ることが出来た自分に思わず驚愕した。
妻の事を思うだけで、こうも自らがプライドを捨て去る事が出来ると言う事を、改めて私は自覚した。

「無意識か。本当にタチが悪いな。けど、もう分かってた事だし……」

「グレン?」

「お前の裏切りを知って、最初はかなりの苛立ちを覚えていたから色々勝手に振舞ってしまったが、お前が自らの腕を傷つけてまで、あの女を阻止したと聞いた時点で、実はもう諦めていた。お前がまさか自らの手で剣を握る利き手を傷つけるとは夢にも思ってもいなかったからな……。怪我の事を知って、腹いせで馬鹿げた計画を立ててしまった事を酷く後悔した。お前から剣の道を奪うつもりだけは、絶対に無いんだ……」

「私は、自らを戒めた事を悔いはしていないぞ。例え利き腕を失う事になっていたとしても、おそらく後悔はしていなかったと思う」

「だろうな。奥方に操を立てられるのならば、腕の1本や2本くれてやるってか?」

「茶化すのか?」

「いや……。だから、それで十分に理解した。俺には絶対出来ない事だからな」

騎士にとって剣を握る利き手は命よりも大切なものとされている。
私もまさか自らの手で利き手を傷つけることになろうとは夢にも思ってもみなかったが、自然とそれが出来た事で、妻に対する自らの愛情の深さを再認識させられた。
今の私には本当に、何をおいても妻への想いが一番なのだと言う事を……。

我等は互いに顔を見合わせ苦が笑いを浮かべると、軽く握り拳を合わせた。

「今度、また酒でも飲もうな」

「……それは、遠慮する」

「おい、まだ俺を信用できないのか?」

「家には招いてやってもいいぞ。落ち着いたらな」

「ほぉー、それは楽しみだ」

信用できないのかと聞かれれば、そこは私的にはグレーゾーンだ。流石に、暫くは外で一緒に飲む気にはなれない。
それに、あんなに具合の悪い妻を一人になどさせられるか!
妻への私の愛の深さを如何にか認めてくれた所をみると、とりあえずは、害は無いだろうとは思ってはいるが、今後も暫くは動向を注意しておく必要があると思っている。


「で、モルダーの件は如何するつもりなんだ?」

そうだった。
グレンとの関係が何とか修復出来た事は良かったが、まだもう一つの問題はまだ残っていたのだ。
私は神妙な眼差しで、ずっと状況を見守っていたモルダーに目を向けた。
早く邸に帰りたいのは山々だが、この件を片づけない限り今後の平和は有り得ない。

「随分と待たせて悪かったな」

「いえ。母の事で、色々とご迷惑をおかけしています……」

「その件については今後もこのグレンが関わってくれると思うから、心配ならば色々と相談をすると良い」

「はい」

「おい!」

グレンが私に対し少しばかり睨みを利かせるが、そんな事は構わない。

「元男爵夫人とは、連絡は取っているのだろう?」

「まあ、そうだが……」

「では、今後如何したいのか詳しく聞いて来い。本気で養子に出す気なら、あの女に頼らずとも私が協力してやる。養子を欲しがっている家は、あの女の所だけではない筈だ」

「分かった……」

「で、お前は如何したい? モルダー」

「えっ?」

「やはり何としても騎士になりたいか? お前の適性を思えば中々に難しい事だとは思うが、人の二倍努力する気があれば不可能ではないかもしれない。やれるか?」

「ほっ、本当ですか?! やります! やらせてください!!」

「グレン、お前の所で引き取ってくれるんだろう?」

「ああ、そのつもりだ」

「ならば、お前の所の従騎士のモルビスは私が引き受けよう。モルダーを引き受けるなら二人の指導は無理だろう? 私の所への移動ならば文句もあるまい。一応モルビスにも確認は取るが……」

「文句所か、おそらく大喜びするぞ、あいつ」

「なら、決まりだな」

諸々の書類も作成しなければならないから、移動は来月一日からと言う事で話はついた。

ああ、これでやっと妻の所へ帰ることが出来る!

私は、はやる気持ちを押さえつつ、残りの書類を一先ずファイルにしまい、早々に団長室を後にした。

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~ Comment ~

NoTitle 

確かに昔であれば騎士にあこがれるのは普通ですよね。
日本であれば武士。
そういうものにあこがれるのは中世の習わしですからね。
そのためには他を捨てるのも厭わない。。。
・・・なんていかないのが私生活ですからね。
なかなか家庭との両立は難しいですね。
いつのご時世も。
(∩´∀`)∩

LandM 様 

いつも有難うございます。
お返事遅くなりすみません。
父の退院後色々あって大変で(そんな中息子がインフルにもなって、PCも開けない日が何日もあって…
やっとだいぶ落ち着いて、今日は少しは書けそうなので、UPも視野に入れています。

モルダーの場合、理由があって憧れてはいますが、男の子にとって、この世界でも騎士は憧れの職業の一つです。確かに。特に民間からは狭き門ですからね。
家庭との両立は、確かに難しい職業ですよね。
そんな中、グレンはパワフルだなぁ(笑
いつもコメント有難うございます。
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