FC2ブログ

信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第21話(シルビア視点)

 ←離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第20話 →離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第22話(シルビア視点)
衣服の乱れた豊満な美女に唇を寄せる旦那様の姿が突如視界に飛び込んできて、私は慌てて視線を外す。
一体如何して突然私がこのような場面を見せられているのか?

しかし、その状況は誰が見ても、この艶めいた美女と旦那様の間に何かがあったであろう事を推測させるもの。それは何処か気怠そうな美女の姿から一目瞭然の事だった。

『また来てくださるわね?』

『そうだな。考えておこう』

悪びれる様子も無くそう告げる旦那様の姿に、私は心の底から失望を覚えた。

『考える必要があるの? 貴方、小娘相手に全然満足出来ていなかったのでしょう?』

『……そうだな。こうやってお前に会ってみると良く分かる。妻はまだまだ子供だった』

その言葉に、胸の奥がズキリと痛んだ。

『だったら、これからもいらして? 私だったら奥様以上に満足させられてよ』

私は、己の未熟さを目の前で突き付けられて、失望のどん底に陥ってしまった。
駄目なのだ……。
所詮私などでは、どれだけ頑張った所で沢山今まで浮名を流してきた旦那様を満足させられる筈等、元から無かったのだ。
けれど……、それでもッ。

(「だめ……、ダメです。旦那様ッ!」)

他の誰かと旦那様を共有する事なんて考えられないッ!
私は必死で大きく手を伸ばした。

もう、聞き分けの良い妻になんて、なりたく無い!
結婚当初は、旦那様に浮気されても仕方がないと思っていたけれど、本当はそうでは無かった。
本当はずっと誰よりも旦那様を独り占めにしてしまいたいと思っていた。
旦那様の隣で、ずっと寄り添っていたいと……。

(「旦那様ッ、お願い!!」)

けれど必死で叫んだ私の声は、旦那様にはちっとも届かない。

『さあ、もう一度いらして?』

妖艶にほほ笑む美女は、旦那様の背に再び腕を回す。

(「嫌よ……、嫌ですッ。他の方なんて見ないで旦那様ッ!!」)

旦那様は私の声を無視して、その女性を寝台の上に再び組み敷いた。

ああ、酷いです。旦那様ッ。
如何したら私に気付いて下さるのですか!?
やはり、全ては未熟な私のせいなのですか?
だから、その方の許へ再び通われるようになったのですか?

(「だっ、ダメ――ッ!!!」)

旦那様と豊満な美女の唇が再び触れようとした瞬間、私は声の限りに必死に叫んだ。

如何して? 旦那様……、如何してなのですか?
私の事だけを愛していると……、言って下さったのは嘘だったのですか?

(「……旦那様なんて……、もう……だいっ、嫌いッ!……」)

私はその場に、泣きながら崩れ落ちた。

もう誰も、信じない……。
何も信じられないッ!


そう思っていると、何処からか聞き覚えのある声が聞こえて来た。

(私を嫌うとは……、聞き捨てならないな)

(えっ!?)

遠くで聞こえるような、くぐもった声が耳の奥底を擽る。

何故目の前にいて、いくら叫んでも振り向いてすらくれない旦那様の声が、違う所から聞こえてくるのか……?

(全く……ッ、一体どんな夢を見ているんだか……)

(……夢……?)

私は何処かもどかしい様子の声音に、必死で耳を傾けようとした。

(私への不満があるのならば、何でも聞く。頼むから目を開けてくれ……、私を見てきちんと言ってくれッ)

(……目を……開けて……?)

私は、そう告げられて息を呑む。
ゆっくりと、重い瞼を持ち上げようと試みた。すると……。


「ああ、シルビアッ」

「ぁ……、旦那……、様?……」

目の前には、少し不服そうにはしているものの、私を覗き込むように真剣な眼差しで見つめる旦那様の姿。

「良かった……。倒れたと聞いて、どれ程心配した事かッ」

(ずっと……、手を握っていてくれた?)

私の手に、そっと唇を寄せる旦那様。

「私……」

今まで見ていた事は、全て悪い夢だったのだと言う事に気付き、私は胸を撫ぜおろす。
そして自らを叱咤した。
なんて、馬鹿な私。
これ程までに私の事を心配して下さっていたのに、旦那様を信じきれなかったなんて……。
そして、そっと腹部に手を添えた。

大丈夫なのかしら?

倒れた時の記憶が全く無くて、突如不安に駆られてしまう。

「何事も無かったから良かったが、本当に肝を冷やしたぞ」

良かった……。

「ごめんなさい……。あの……、何時から……こちらに?」

「半刻程前に戻った。駆け付けて支えてくれたセイバスに感謝しなくてはな。そのまま床に倒れていたら、打ちどころが悪ければ大変な事になっていたかもしれないと主術医に酷く叱られたそうだ。本当に気を付けてくれよ。今後はくれぐれも一人で出歩くようなことはしないでくれ」

「御免なさい……」

記憶は無いけれど、如何やら己の不注意で、この子を危険な目に再び合わせていたのかもしれないと思うと、本当に申し訳ない思いでいっぱいになる。
母親としての自覚が足りなかったと、深く反省をした。

しかし、私は何処で何をしていて倒れてしまったのか?

「あの……。それで、私は……何処で?」

「覚えていないのか?」

「えーと……。まだ頭が少しボーっとしていて……」

すると側に待機していた侍女が教えてくれた。

「洗濯場でございますわ、奥様」

「洗濯……場?」

「はい」

「ずっと寝ていろとまではいわないが、邸の中でも油断は大敵だと言う事は胆に銘じておいてくれ」

「本当に、申し訳ありませんでした……」

私は皆に心配をかけてしまった事を心苦しく思い謝罪した。

「しかし、何故洗濯場などに行ったんだ?」

不思議そうに首を傾げる旦那様。
確かに何をしに私は洗濯場へ赴いたのか?

「確か……、少し眠ったら、気分がとても良くなったものだから、気分転換に邸の見回りでもしようかと思って下へ降りたの……」

懸命に記憶の糸を紡ごうと試みる。

「見回りなど、子が生まれるまではセイバスに任せておけば良い。今は身体の事だけを考えていてくれッ」

「はい……。ですけれど……。ぁっ……」

思い出してしまった……。

「しかし、夢の中とはいえ、私を嫌うなどとはけしからんな。お前に会いたくて、私はこれでも急ぎ城から戻って来たと言うのに」

「…………」

「如何した? 急に表情が険しくなったぞ?」

「いえ……」

「まさかまた私を疑っているのか? 勘弁してくれ。シルビアが倒れたと聞いて、私がどれ程心配した事かッ」

本当に真剣そうな眼差しで、私を心配そうに旦那様が見つめているようには感じられる……。
けれど、ならば如何して旦那様のシャツに女性ものの香水の匂いが?
それに、あの血痕は何を意味するものだったのか?

「嘘……」

「えっ?」

「ならば何故……あんな香りが?」

「シルビア!?」

私は旦那様に、思い出してしまった胸を燻り続けている思いを、吐き出してしまおうと心に決めた。

★押して頂けると励みになります

にほんブログ村

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第20話】へ
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第22話(シルビア視点)】へ

~ Comment ~

NoTitle 

ふうむ。
実際に妊婦さんってどうするんでしょうね。
ずっと寝ておくのも体に悪いような気がしますけどね。
かといって、動きすぎるのもアレですし。
食べ物とかは大切とはよく聞きますけど、
動くのとかは良いのかな?
( 一一)

LandM 様 

妊娠中でも、具合さえ悪くなければ、初期でも普通に家事とかは出来ます。
ただ、悪阻の酷い時期は、ある種の臭いは駄目だし、吐き気が強いと家事もままなりません。
あらゆる匂いがダメで私は水さえ吐いて飲めなくなって、健診まであと2日と我慢してたら、行った時即入院でした^^;
少し食べれるようになってからは、簡単な家事と、散歩には行ってました。(人ごみ無理w)
食べ物は食べれたときは朝はきちんとイリコ出汁の味噌汁に、納豆、ヨーグルト、プルーンは貧血と便秘予防の為に食べてました。(今は市販の粉末使用)
色々と今覚えば頑張ってたと思うわ~。
風呂掃除が一番大変だから旦那様がアレはやるべき!

いつもコロンと有難うございます。

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第20話】へ
  • 【離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第22話(シルビア視点)】へ