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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第25話

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妻の視線が突き刺さる。
もう誤魔化しも何もきかないと言う現実を突きつけられている事は、否が応にも理解できる。
私は覚悟を決めると、ゆっくりとした口調で続く言葉を口にしはじめた。

「警戒はしていたのだ。私が結婚後に直帰するようになった事を不服に思っていたようだし、だから結婚後は職務以外で奴と行動を共にすることも避けていたんだが、あの夜はとても直ぐに帰る気分にはなれられず……、他の部下に誘われるままに酒を交わしに出かけた。そこに避けていた筈の奴が、不意を衝いて現れた。だから、ヤバいとは思っていた。奴とは以前は良く一緒に行動をしていて……、シルビアが心を病んでいたあの件にも深く関わっていたから……」


「えっと……、確か旦那さまの同期の部下と、いま仰いました?」

「ああ、そう言った」

「えっ? でも……あの……、ですけれど、旦那様の同期で一番お近くにいらっしゃるのは、あのお優しいグレンソ・マグリニー第2連隊長様しか、いらっしゃいませんわよね? 私の……、思い違いだったかしら……??」

「思い違いって……、まさか……。おいッ! なんでお前がグレンの事を、そんなに良く知っている素振りなんだ!?」

確かにグレンの事は結婚式後のお披露目会の席で、大勢の親族や関わりのある国の重鎮等、隊長クラスの部下たちと共に紹介はしたが、その数は100名を優に超える。とても一度顔を合わせただけで覚えられる類のものではないし、妻の言いようにも何処か引っかかるものがあった。

「あ、はい。ご紹介頂きましたし、それにマグリーニ連隊長様には、騎士のお仕事について等も、あの後ご丁寧にご教示頂きましたので……」

「なん……だって!? いつ……、それは何処での話だ!!」

私は身を乗り出し、妻に問い正した。

(グレンの奴、私の知らぬ間に、妻と……、まさか会っていたのか!?)

お披露目の席では妻と離れることは無かったはずだ。妻が退出するまで、ずっと行動は共にしていた。
という事は、何処か別の機会でという事か!?

「えっと……、結婚休暇を終えられた翌日だったでしょうか。非番明けだと仰っておりましたのに、わざわざ邸にお立ち寄り下さいまして、色々と私の知りませんでした騎士のお仕事の業務外での関わり事の重要さ等についても切々とお教え頂き、とても有難く思っておりました。それに、とても親切にしてくださいましたし、騎士としての旦那様のご様子をお伺いするのも楽しくて……」

「……あいつーっ……」

あの日、出仕するや否や例の奉仕への誘いがグレンよりあったのは確かだ。
だが、既に妻に対する深い愛情を覚えていた私は、即座にその件を断った。
そして、今後は今までの関係を全て清算するつもりであることも話した。グレンは『成程な……』と頷いてくれたものだから、私は勝手に納得してくれたものだと思っていたのだが、後の事件を思えば、当時から全く快く思っていなかったという事か。
だから妻を言いくるめ、帰宅が遅くなることも了承させ、裏で根回しもし、あの頃から今後も私を、あの既に思い出したくもない泥沼の世界へ連れ戻すつもりでいたと?
そういえば妻は結婚当初から『こんなにお早いお帰りで、ご無理をされているのではありませんか?』と私をいたく心配していたが、あれは私の身体を心配しての言葉ではなかったのだ。あの優しい言葉までもが、グレンに私を加担させる為のものだったとは……。
私はグレンの知略に嫉妬すら覚えた。

「……旦那様?」

「ここまで用意周到な奴だったとは……。だから私は出し抜かれたのか!?」

「……はあ?」

「いや……、奴には何もされなかっただろうな!?」

「はい、別に特別なことは何も……。挨拶の抱擁と、手の甲に口づけられましたけれど、それは形式的なものですし……」

「!!…………っ」

グレンと妻の当時の様子が、妄想となって脳内を駆け巡り、私は嫉妬に狂いそうになった。

「あの……、それよりも旦那様。あのお優しいマグリニー連隊長様が……?」

妻はとても信じられないと言った表情だ。

「奴とは腐れ縁で、色々と今まで公に出来ない事も共にやって来た間柄だった……」

正直に、グレンとの過去の関係性を認めながら話す。
妻の前で、グレンがどれだけ紳士ぶっていたのかは想像ができた。
今の妻の頭の中で、グレンはきっと『清廉な優しい人』という位置にある。

「えっとぉ??……」

「私はお前と出会って、女に対する認識を改めたが、奴は結婚後もずっとその事を改める事も無く、関係を続けている。婚外子もいて奥方が育てている。奴は今まで私を同類と見なしていたし、私も奴のように生きていくのかと正直ずっと思っていし、そう話していた。だが、そうでは無かった。シルビアが私を変えてくれた……。だが奴は、おそらくそんな私を快く思っていなかった。それで私に罠をはめたのだろう。私を再び奴の都合の良い世界へ連れ戻す為に……」

「それは……、あの……、複数の女性との……、あの……」

妻は少し羞恥に満ちた表情で瞳を反らし言葉を詰まらせながら、確認の為の言葉をゆっくりと紡ぐ。

「そうだ。あの夜……娘の事で嫉妬を覚えた私は、やけ酒を煽りながら……つい、愚痴を零してしまった。すると思いのほか深酒になってしまった……。いつの間にか薬を盛られ、その事に気づた時にはもう遅かった……」

「……薬を……、盛られた!? まさか……」

「本当だッ! 普段だったら絶対にそんなヘマはしなかった。だが、あの日の……、お前たちの話の内容は、私にとってはそれ程に大きな痛手を齎すものだったのだ。だから、気を失っている間にグレンの宛がった女に衣服を緩められ、馬乗りにされている事にも気づかなかった。目が覚めて、愕然とした……」

「うっ……馬乗りって……」

「ここまで来たら隠していても仕方ない。シルビアが気にしている香水の香りはその女のものだ。勝手に私を剥いてモノに手をかけていた……。私は薬で痺れて身動きができない状況だった……」

「そんな……っ」

「心ならずも淫口行為を許してしまった事に、疑う余地はない……。この目で直視し愕然とした。その件についてはシルビアに何の申し開きもできない。謝った所で簡単に許されるものではないかもしれないが、本当に済まない……。だが、聞いてくれ! それ以上の事は本当に許してはいない! だから、私はお前を裏切ったつもりは毛頭ない!」

「そんな……都合の良い話って……」

「シルビア!」

「それに、そんなの……分からないじゃない! 気を失っていたのなら……何をされていたのか分からにいのなら……。思いは無かったかもしれないけれど……、何もなかったとは……」

「それは大丈夫だ。まだ私のモノは反応してなかった。……挿入が出来ず、あの女は苦渋を強いられて翻弄していた……」

「!!……っ。そ……、んな事……」

妻は頬を染め羞恥しながらも、小さく震えていた。

「都合の良いことを言っていることは自分でも分かっている。だが、信じてくれ! もし、本当にお前を裏切っていたら、今私は……」

「いやッ!! それ以上、聞きたくない!!」

「シルビアッ!!」

「……旦那様が私を裏切ったとまでは言わない。……けれど、ごめんなさい……。今は混乱して感情がついていかない……。しばらく一人にして……。これ以上混乱してこの子をまた危険な状況に追い込みたくないのっ……」

「……分かった……」

子の事を持ち出されれば、私には今これ以上の弁明は難しい……。
妻は今までに無いほどに動揺しているし、混乱している。
それは理解できた。

妻の状況は、想定内のものだった。
だが、その状況を目の前に突きつけられた現実は、私が想像していたものよりも遥かに重いものだった。
妻に言われた通り、速やかに部屋の出口に向かおうと重い足どりでゆっくりと歩き出す。そして扉の取っ手に手をかけると立ち止まり、今一度だけ私は妻を振り返った。

「全ては私の落ち度だ。何の申し開きもできない。だが、これだけ聞いてほしい……」

「……な……に?……」

「本当に心から……、私はシルビアだけを愛している……」

「!!っ……」

私はそう告げると、ゆっくりと扉を閉めた。
妻の涙に揺らぐ大きな瞳を愛おし気に見つめながら……。

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※父の病状が思わしくなく、更新が途絶えてすみません。色々ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。更新できる時はしますので、すみません。

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~ Comment ~

NoTitle 

酒を酌み交わして。
薬を盛る。既成事実があったかのように偽造する。
今も昔も常套手段ですよね。


・・・。
・・・・・。
・・・・・・・。
巻き込まれたらたまったものではないですけどね。
( 一一)

LandM様 

今晩は。

本当に、巻き込まれた者はタマッタもんじゃない!^^;
ただ、シルビアも愛してるって言われただけではここは納得できないでしょうし、旦那様、一体如何する気なのか……。

いつもコメント有難うございます。
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