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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第27話

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書斎で領地に関する報告書に目を通しながら、他に言いようがなかったのかと自身を戒める。

妻は今まで私が関わってきた女たちとは根底からして違う。
世慣れておらず、擦れた所等の全くない……、本来私等が触れる事すら許されないであろう純真で無垢な少女だったのだ。
婚姻による関係で、男に身を委ねる術は私が教え込んだ。
妻はいつも従順で、恥じらいながらも私を素直に受け入れてくれていた。
身体を寄せれば、求めるままに私を受け入れてくれる躰を私は欲し、情を幾度も交わし合った。
だから男を初めて知る妻に、自己満足にしか過ぎぬ淫口的行為なるものを教え込もうとは思わなかった。
それが妻に似つかわしい行為とは到底思えなかったというのが一番の理由だが、妻との間には淫口行為を強要する必要性を感じていなかったと言うのも事実だった。
勿論女からされる淫口行為自体は決して嫌いではない。妻が喜んでしてくれると言う日が来るのであれば、勿論それは喜ばしい事ではあるが、変に知らせて引かれて怖がらせるのは頂けない。ならば知らせぬままでも良いと思っていた。
それに、それを必要としない程に妻の躰はいつも甘美で、私を狂わせる。
私はそれだけで妻との関係性を、十分に現時点では満足していた。
だから妻に余計な強要はしたくなかった。
何よりまだ閨での行為に慣れていない妻に、たどたどしい淫口行為などされた暁には、私は自身を抑えきれない程に乱れ、妻を今までに無いほどに求め抱き潰してしまう自信がある。
それはとても今の妻との間で出来る行為ではないと思っているし、してはならないと感じている。
だから、おそらく先程告白したあの女との行為は、妻にとっての初めての知識となった筈だった。

思えば、あれほどのあからさまなる物言いは、いささか妻にとっては考慮が足りなかったのではないかと言う後悔を、少なからず覚えるのだが、それも今となってはもう遅い。
震える妻を、私は抱きしめる事すらできなかった……。

「もっと、違う言いようがあっただろうに……」

顔を上げれば出るのはため息ばかりで、見直している書類は読んでいても頭の中をすり抜けて、全く内容が入って来ない。

「……はあ――っ……」

言いようのない虚しさが心に壁を作る……。

きっと妻は、私に対して嫌悪感を覚えたに違いない。
当たり前だ。己ですらあの時の自身の状況を思い出しただけで、嫌悪以外の感情が芽生えることは無いと言うのに、妻からしてみれば、まさに聞き及んだ情報は青天の霹靂だったに違いない。

「状況から言って、これ以上の弁明は、直ぐには無理だろうな……」

妻が普通の状態であれば、何としても無理強いしてでもその場に残って更なる状況を説明し、懇願し続けていたに違いない。
だが、今の妻の状態を思えば、そういう訳にも行かなかった。

時計に目をやれば、妻の部屋を出てまだ1時間と経っていない。

「今夜は長い夜になりそうだな……」

こんなに時間の経過が過ぎるのを、遅く感じられる夜は初めての事だった。



何度目かの深いため息をついた時だった。
書斎の扉が小さく叩かれる。

“コツン、コツ”

明らかに、いつも聞き慣れた家の者とは違う緩やかな音。
何処か躊躇するような奥ゆかしい弱い扉の叩く音に、私は聞き覚えがあった。

まさか……!?
そんな、あり得ないッ!
だが……。

私は急ぎ反応すると、扉の傍まで駆け寄った。

「シル……ビア……、なのか?」

震える手で、ゆっくりと扉を開いた。

「やっぱり……」

「えっ?」

すると目の前に現れた妻は突然、何を思ったのか、私が取っ手を持っていなかった方の利き腕を、掴みにかかった。

「ッ!!……なっ、なにを……ッ」

妻の思いがけない行動に、私は咄嗟に身を引いた。
傷口は縫って間もない。痛みも実はまだかなりある。かすかに顔を歪めてしまっていたかもしれない……。

「……痛むのではありませんか?」

「……何のことだ?」

妻に余計な心配をかける必要は無いと思っている。

「お怪我を……なさっているのではありませんか?」

「何故そう思う?」

「洗い場に置かれていたシャツ……。旦那様の利き腕の袖口が、おびただしい血痕で濡れていました」

「……それは私の物ではないな。スウェーデンが昨日負傷したと言っていたから奴の……」

「嘘!」

「落ち着け。そんなに怒っては腹の子に良くないぞ?」

「……誤魔化さないでッ! 給女と口裏を合わせて、私は除け者なのですね……。あのシャツが旦那様のものかどうか位、私にも分かります。上着にも血痕が付着しているのを私は見ました。どうして……、私には隠すのですか!?」

「シル……ビア……」

まさか、傷の事に気付かれているとは思いもしなかった。
私は気まずくなって視線を少し反らした。

「……痛むのでしょう?」

「お前の心の痛みに比べれば、大した事は無い……」

そうだ。
結婚して尚、私は心ならずもずっと愛する妻を傷つけてきたのだ。
こんな傷位、大した事では……。

「如何してお怪我を?」

どう説明すれば良いのか……。

「性(さが)を封じ込めるにはそれしかなかった。俗に男は下半身の生き物だと言が、良く言ったものだ。心は無くとも身体は反応をするのだからな。どうしようも無かった……」

「……えっと……それは如何いう??」

どうやら私の放った言葉は、今回も妻にはかなり難しいものだったらしい……。

妻は小首を傾げて呆然とした眼差しで私を見上げている。
この無知で理解の無さ気な、のほほーんとした表情が、痛い程に私に可愛く見えていると言う事を、妻は自覚しているのだろうか?
私は思わず差し出した両腕を、ブルブルと震わせていた。
抱きしめたい衝動を抑える事に、酷く苦労している状況だったのだが、必死にこの場は何とか食い止めた。

「立ったままでは何だ……。身体が冷える。お茶でも入れよう。座りなさい」

私は妻の腰に何とか片手だけを収めると、書斎の一角に置かれているソファーに座らせた。

今度は妻に分かるように、しっかりと理解できるように話をしなくてはと思い直しながら……。
しかし、この無知なる妻に対し……、一体どのように砕けて話をすれば、理解して貰えるものなのだろうか??

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~ Comment ~

NoTitle 

・・・。
・・・・。
・・・・・・。
うん、どうだろうな。
妊娠うつ・・・と言えば、それでいいだろうし。
それに心配している旦那という構図で良いのでしょうけど。
たぶん、仕事だと私は旦那さんに
「もっと奥さんを大事にしてください」とか。
「奥さんと納得いくまで話をする時間を作ってください」とか。
そういうもっともらしいこと言うのだろうけど。

実際に奥さんがそういう状態になったら。
私は放置する!!・・・ような気がするような気が無きにしも非ず。。。
奥さんが妊娠すると、旦那は旦那で職場で大変なのだ。
( 一一)

LandM様 

今晩は。
妊娠中は何かとホルモンのバランスの関係でいつも以上に落ち着かなくなったりしますからねぇ。
シルビア、うつとまでは行かなくても…、情緒不安定であるのは確かな。
これ書いている時、私が悪くて息子に会えなくて色々と産後の鬱になりかけてた精神状態を思い出しながら書いてた記憶がw
うちは旦那と病院で大喧嘩してね^^;
それがこういう所で生かされていると言う(爆
妻が妊娠すると、夫にとっても確かに色々ストレスは有りそうだよね。
色々あるけど、何とか乗り越えて欲しいですね^^

いつもコメントアリスがとうございます。
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