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信じても良いですか?旦那様ッ

離婚しましょう? 旦那様ッ・続編『信じても良いですか?旦那様ッ』 第28話

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書斎の片隅に置いてある仮眠用のソファーに腰を下ろしている妻は、私から茶を受け取ると良い香りねと言いながら、それを口元へと運んだ。

「すっきりして、美味しい……」

妻に注いだ茶は、先日医術師より妻用にと厳選してもらった試飲用の一つ。
なんでも赤い木の実から作られたノンカフェインのものらしく、それが今の妻には一番お勧めだと言われた。
鉄分やビタミン、食物繊維も多く取れスッキリと飲める事から、昔から妊婦に好まれて飲まれているものらしいが、最近では美容効果も認められ、秘かに若い女性にも人気がある品と聞き、妻に勧めるものならば毒見とは言わないが、どんなものか飲んでみようとここへも運ばせた訳なのだが、まさかそれを当人と一緒に試飲がてら飲むことになろうとは、全く想像していなかった。

「少し酸味があるか? だが、爽やかな感じだな」

「普段、飲んでいるものではないのですか?」

「いつもは頭脳の明確さを保つ為に、カフェインの入ったものばかりだったからな……。これはお前用に、医術師に頼んだものだ」

「……私の為に?」

妻は少し驚いたように瞳を見開き、私を見上げた。

「今の私の日常は、気付けばいつもお前の事ばかり考えてしまっているのが現状だ」

「えっ?」

カップを持つ妻の手が一瞬止まった。

「……確かに、結婚以前の私は、不誠実な男この上なかったと思う……。だが、今は何よりもお前と腹の子の事を大切に思っているし、職務の間も……、本来あってはならない事だが、時折お前が今どうしているのかが頭を過って離れないでいる」 

思いがけない告白だったのか、妻の両目が大きく見開かれた。

「今まで付き合ってきた相手で、職務に支障をきたす者など誰一人として居なかった。お前だけなんだ……」

「旦那様?」

妻の頬がかすかに朱色に染まる。

「だからシルビアの事に関してだけは、自らの意志だけではどうしようもないものがあて……、私はお前に出会って、本当の意味で人を愛すると言う意味を知ったのだと思う。……だから初めての感情に、自身でもかなり戸惑ってしまっているのは確かだ」

「旦那様が?」

妻は、信じられないという表情をしている。
確かに結婚前の私の評判を知っている者が聞けば、そのようなことは想像もできない事だろう。だが、これは事実で、現在私は妻に対しては誠実すぎる程誠実でいると思っている。
今回の罠にはまったことに関しても、妻を愛するが故での惨劇であって、裏切った訳では決してないと自身では思っているが、それを分かって貰うにはどうやって妻に伝える事が正しいものなのか?
私を見上げる妻のつぶらな瞳は、何とも言えず愛くるしく、今こうして妻に触れずにいることすら実はとても苦しい。

「だから、お前からの愛を勝ちとった今、本当に他の女など露程思ってもいないし、興味も全く無い。お前以外勿論自ら触れたいとも思わないし、触れられたくもないと思っている。だが、心ならずもあの女に良いように弄ばれている内に、感情だけでは計り知れない男の本能が顔を覗かし始めた」

「男の本能?」

「男は本来愛する者が相手でなくても女を抱ける生き物だ。それは今まで自らの犯してきた行動で自負している」

「!!っ……」

男と言う生き物の生態的特徴を知らされ、妻の動向がかすかに揺らいだ。

「だが、今の私はそれでもお前以外を欲しいとは思わない。ただそれは、私の意識と感覚がはっきりしていればの話だ。薬で縛られた状況では話は別だ。意識はあっても感覚は、私の思い通りにはなってくれなかった。意識で抗おうとも、あの女の手管に身体は従順に反応していくのが感じられた。巧みなあの女の淫口行為にお前を裏切ってしまうのではないかと恐怖を覚える程だった。だから、私は自らを自身で制裁した。それしか方法が見つからなかった」

「嘘ッ!……」

両手を口元へとあて、驚きに満ちている妻の視線は、私の腕へと移される。

「では、あのおびただしい血は……、まさか旦那様がご自身で!?」

発せられる声も、幾らか震えていた。

「ああ、シルビア。お前を傷つけるくらいなら、腕の一本や二本、たやすく捨てられると思った」

「そんなッ!! 私の為だなんて……」

妻は、思ってもみなかった傷に至った経緯に、大きく首を何度も振る。

「……罠にはまってしまったのは、私自身の落ち度だ。だから、お前が気に病む必要は何も無い……」

「でもッ……。傷は、深いのですか?」

「大したことは無い。動くようにはなるそうだ」

「……深いのですね!?」

「……淫口行為まで許してしまった今、そう易々と許してもらえるとは思っていない。だが、心は伴っていなかった。その事だけは、分かってほしいと思う……」

この告白で、妻はどのような反応を見せるのか?
暫く、妻からの返答は何も無かった。

静寂が、時の流れを狂わせる。
どれ位の時間が過ぎたのだろうか?
5分? 10分。いや、もっと短かっただろうか? 或は長かっただろうか?
すると妻がやっと、重い口を開いた。

「……お話を伺っていて、……旦那様のお話が本当で、ならば成す術がなかったであろう事は、何となく……理解できます……。でも、旦那様が、私以外の方に……」

「許せないか?」

「……嫌だとは思います」

「そうだな。私も、お前が私以外の者に……、グレンに手に口づけられる事すら嫌だからな」

嫉妬心をむき出しにした私に、妻が再び驚いたように、瞼を見開く。

「ですが、あれは挨拶ですよ?」

「それでも嫌なのだ。私はもし……、私にされたようなことをお前が他者にされたとしたら、相手を生かしてはおけない。例えそれが、お前の意であったとしても……」

「それこそあり得ない事だわ! 私は絶対に旦那様としか、あのようなことは死んでも出来ません!」

「ならば、お前は私を許してくれつもりにはならないか……」

「……すごく不本意ですが……、事情が事情のようですし……、今回に限り……」

「許して……くれるのか?」

「はい……」

「そうか。淫口までされたら、簡単には許してもらえないと思っていたが、シルビアが寛容でいてくれて感謝する」

「いえ。私だって旦那様が不本意な……、手に口づけられていますし、手で触れられた位なら許して差し上げなければいけませんよね?」

そう告げ、妻は小さく微笑んではくれたが……。
いや……、待てよ!?

「……今、手で触れられたぐらいと言ったか?……」

「はい」

「お前……淫口の意味を、知っているのか?」

「えっと……、旦那様のモノに触れることですよね?」

「何処で?」

少し考えるような仕草を見せた後、妻は……。

「……手?」

「…………」

ここは言うべきなのか、言わざるべきなのか?

一難去って、また一難。
私は頭を抱え、思わず大きなため息を一つ零した――。

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~ Comment ~

NoTitle 

子どもを産むって、大変ですよね。
飲み物も意識しないといけないし、
食べ物も意識しないといけない。。。f(^_^;
母親は苦労して産んでいるのだから、
周りも気をつかって欲しいですよね。
私も頑張ろう。。。
(-_-)

LandM 様 

今晩は。
そうなんですよ。子供を産むって本当に大変なんですよぉ。
色々と当時は私も苦労しました。
その経験が幾つか小説で生かされてます(笑

お互い頑張りましょう♪

いつもコメント有難うございます。
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