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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第4話 彼女を得る為への拒絶

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 私の中で彼女の存在は、ずっと長い間尊敬する騎士と初恋の女性の娘と言う位置づけだった。

「殿下は……、ご自身の今のご発言が、何を意味されるのか分かっておいでなのですか?」

「勿論だ。だから宰相、過日私が『考えてみる』と言った話は、無効とする」

「殿下ッ!?」

 いや、正確には……、ずっと分かろうとしていたに過ぎない。
 体裁を取り繕う事こそが弟の、ひいては国を重んじるべき王太子の立場としては重要なのだと信じて。
 だが、彼女との関係性を取り立たされた時、それが間違いであった事に気付かされた。

 この時の己の感情には、彼女の事を唯の歳の離れた幼馴染と片づける事に無理があった。
 正直な所……、この時点での私は、自身の中での彼女の存在に対する位置付けが出来てはいなかった。
 だから、まだ明確とは言い難い想いの行方を、確かめる必要が如何してもあったのだ。
 彼女に対する特別な拘りが、唯の幼い頃からの成長を純粋に見守りたいと言う兄のような気持ちの延長としてなのか、或いは別のものなのか。

「そのような事を、今更仰られても困ります。筆頭令嬢には、既に城に入るお支度をする旨、使者を送っており……」

「誰がそのような先走った事をせよと申した! 宰相、その件は間違いであったと撤回しろ。私はこれまで、ずっとフィフィの成長を楽しみにして来たんだ。それを奪うような奴は、何人たりとも認めないし許さない!』

「……殿下……ッ」

 自身の中に芽生えた行き場のない苛立ちを、正直宰相に八つ当たりした自覚はあった……。
 今思い起こせばあの時、宰相には悪い事をしたと少しは思う気持ちもあるが、年の功であれ位気付いてくれよと言う気持ちも何処かにある。


 そして迎えた彼女の14回目の誕生日当日。
 祝いの品と称して剣術の練習着を進呈すると、彼女はとても喜んでくれた。

「有難うございます。殿下!」

 落ち着いた中にも何時になく、彼女の嬉しそうな笑顔が眩しくて、思わず自身の目尻が下がる。
 終始彼女の家族との楽しい祝いの席が繰り広げられ、やがてそれが佳境に入った頃、彼女から告げられた衝撃なる言葉。

「私は家族を守る為に、騎士の道を志しとうございます殿下。剣を振るう妃など聞いたことがありませんし、本日を持ちまして、殿下の婚約者候補をご辞申し上げたいと思います」

「!!……なっ……」

 彼女は今、……なんと言ったのか?

 あれ程までに悩み抜いて、この場に足を向けたと言うのに、二人の今までの関係性をいとも簡単に捨て去ろうとしている彼女の言葉が私は信じられなくて……、鈍器で頭を殴りつけられたような気分にさせられた。

「……騎士になる? 別に私は構わないよ。私の護衛を兼ね備える事の出来る妃なんて素晴らしいじゃないか。婚約者候補を辞する要因はないし、周囲が何と言おうと私がそんな事は絶対にさせなし、認めない!」
 
 彼女から告げられた言葉に途惑いを覚えながらも、虚しい気持ちが心の中を占めつくし、苛立つ気持ちを抑えきれない。
 何より婚約者候補を辞すると言う彼女の言葉を受け入れられなくて、考えるより先に身勝手な感情が溢れ出していた。 

「……殿下……、ですが私は……っ」

 続く彼女の言葉は、既に耳には入って来なかった。

 彼女以上に執着を覚える婚約者候補など知らない……。
 そんなもの欲しくもない!
 形ばかりの他の婚約者候補の存在など、最早不要でしかないと、そう思えた。

 翌日、私は彼女以外の全ての婚約者候補を退けたいと旨を、宰相に進言する。
 だが流石に、それには無理があるだろうと助言され、とりあえず17歳~15歳になる3名の婚約者候補の解任を求める嘆願書を宰相に提出。同時に彼女を婚約者筆頭とすべく話を、議会に申し立てた。

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~ Comment ~

NoTitle 

毎回の話ですが。
この手の話で思い出すのは、織田信長の息子の信忠ですが。
彼は本命の女性の為に、正室を空位にしてましたからね。
やっぱり、本当に愛していたんだなあ。。。と思います。
時代や家柄があっても、貫きたいものがあるってことですね。
(*'▽')

LandM 様 

今晩は。お久しぶりです。返信遅くなりました。

思う気持ちは忠信と通じるものがあるかもしれませんね。
殿下も誰が何と言おうとも己が思いを貫く覚悟を持った人なので^^
一途なヒーローは大好物です(笑

いつもコメント有難うございます。
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