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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第6話 彼女を捕える決意

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 この日の私の護衛は、第2班の者に任されていた。
 午前中の公務が終了し、自由になった私は公的護衛を一部解除し私室へと戻ると、ある場所を目指す事にした。

「マドリック、昼食に行ってくる」

「今日もお一人が宜しいのですね?」

「勿論だ」

「では、お側まではご一緒させて頂きます」

 従者は昼食用に用意されたボトルに入った軽食用のスープとリブサンドを手際良くいつも持ち歩く籠に詰め込むと、私と共に場所を移動した。

 城内では日常的に護衛は付けているが、私室から出る時はだいたい一人か場合によっては腕に覚えがあるそれなりに鍛えられている従者が伴をしてくれることから、外部との接触が無ければほとんどの場合それで賄える。
 目的の場所へと到着すると、従者は籠を私に手渡した。

「では、行ってらっしゃいませ。本日のご幸運をお祈り致しております」

「行ってくる」

 騎士団詰め所の横にある小高い丘を上り詰めれば、そこにはいつも私の楽園が広がっている。
 この日は第7班の演習日で、天候の良い日は彼女がそこで昼の休息を取る事を知っている私は、時間の許す限り好んでその場所を訪れていた。

 束ねられたアッシュブラウンの長い髪が視界に入る。
 風に靡きながら横から見え隠れするうなじの何という艶めかしい事か。

 ああ、あの艶やかな首筋に、もう一度――。

 二週間ほど前のある夜の彼女との出来事が頭の片隅を過り、私は大きく首を振る。
 まだ、気付かれる訳には行かない。
 一時的なショックによるものなのか或いは別のものなのか、彼女はあの日の出来事をおそらくは喪失してしまっているようなのだから……。
 今はあまりその事に触れずにいるしかないと思いながらも、私の心は急いて仕方がない。
 もう、表向きに彼女が何を言ったとしても、それを信じて彼女を手放すつもりは無いが、彼女の婚約者候補としての期限が迫っている以上、あまりのんびりと事を構えている訳にも行かないと思っていれば、数日前より現れた彼女の体調の変化に、事は緊急を要する事態へと発展しているであろう事を確信した。
 彼女は、きっと――。


 想いに馳せながら背後から見惚れていると、彼女から気付かれた。

「……殿下……っ」

 何処か呆れたような彼女の表情に、私は思わず苦笑いを漏らす。

「やあ、フィフィ。偶然だね、休憩かい?」

「……何処が、偶・然・な・ん・で・す・か?ッ」

 ああ、その上目づかいに私を睨み付ける涼やかな眼差しの、何と言う甘美な事か。

 そんな事を思っていると、あからさまに嫌そうな顔をされてしまう。
 深いため息までつかれれば流石に少しは凹むが、私は過日の……、あの特別な夜会での夢のような出来事を、後悔もしないし彼女の記憶があろうが無かろうが不問にする事等全く考えていないから、その事は笑顔で許してあげた。

 何があっても、私はもう、フィフィを逃すつもりは無かった。

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~ Comment ~

NoTitle 

優雅なランチタイムですね!!
私は医療職な関係で、こういう時間がないので
うらやましい。。。と思ったり。
たまに番組とかで、ランチタイムを取り上げておりますが、
あんな休憩の仕方をしてみたいですねえ。。。
(--〆)

LandM様 

今日は。
うちの職場でも同様ですよ~。
いつも食介しながら持って行ったおにぎり頬張りつつ、食事中の異変がないか気を配りながら食後の服薬したりと、仕事の時は落ち着かない昼食の日々です(笑
なのでこの場面は息子が小さい頃にお弁当をもってお出かけしていた頃のイメージも少し含まれてますが、イメージして書いてるだけで思わず嬉しくなっちゃっいました^^

いつもコメント有難うございます。
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