FC2ブログ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第11話 仮装舞踏会での出来事 

 ←婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第10話 仮装舞踏会への誘い  →婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第12話 伝令より届けられしも
 何も知らない妹は、プロムナード伯爵邸に到着すると、弾けるような満面の笑みを浮かべ馬車を降りる。

「うわぁー、何て素敵なの」

 煌びやかな白いドレスに透明の羽を身につけて妖精に扮している妹は、最初こそ、その場の雰囲気に魅了され飲み込まれていたが、元来の好奇心旺盛な性格を直ぐに発揮し始め、周囲に臆することなく溶け込んでいった。
 会場内では、場の空気に何かを感じ、常に妹に付かず離れずの位置を陣取りその様子を見守っていた。 
 普段より警戒心が働いているせいなのか、その日に限り声を掛けられる頻度も多く感じられ、中々気が抜けない。ベストな位置をキープすることが難しい状況だった。
 通常の夜会では、余裕をかまし壁の花を気取って観望に徹していられる時間も幾らかは見つかるのに、その日は中々気が抜けない。
 それでも、軽食を取っている時間だけは、ずっと傍にいるのも何処か不自然なので、壁の花に徹して見守っていると、普段とは違って在り得ぬ事態。
 先程から何度も断っていると言うのに、次から次へと珍しくも私を誘って来る殿方が後を絶たない。

「レディ、蝶は羽を広げて飛び立ってこそ美しい、一曲私とお相手を」

「結構です。蝶には羽を休める事も必要ですわ」

 傍に置いてある軽い飲み物を掲げながら、この手の背中が痒くなるような言葉を、私はこの日何度口にしただろうか?

 更には何度も断っていると、それが目についたのかずっと観望していたらしく、あからさまに別の切り口をきっかけにしようと話しかけて来る者まで現れた。
 物好きな。

「ずっと壁の花を気取っているようだが、何か理由が?」

「妹が心配ですの。もう可愛くて」

「過保護な姉上なのですね」

「ええ、自負しておりますわ」

「妹君は、どのご令嬢?」

「あの、白い妖精がそうですわ」

「ほーぉ。溌溂とした感じのお嬢さんのようだ」

「ええ。隣の孔雀も妹の大切なお友達ですの」

 隣に陣取る殿方に、牽制のつもりで少しきつめの表情を作り視線を送る。

「ああ、孔雀もですか? それは頼もしい!」

「えっ?」

「きっと、今宵はとても有意義な楽しいひと時を過ごして頂けると思いますよ」

 予想に反し、微笑を浮かべ、何処か含みのあるようにそう告げた殿方の眼差しに、何とも言えぬ違和感を覚えた。
 ここは気を引き締めてかからなくてはならないと、思ったまでは明確に覚えているのだが……、その後何が起こったのか?
 どうなってしまったかを、私は全く覚えていなかった。

 父の話では、おそらくあの後、流感性の高熱らしき症状に突如みまわれ、具合が悪くなり倒れたのだそうだ。
 救護所に運ばれている所を駆けつけた父知る所となりそのまま屋敷へ連れ帰り、数日間臥せっていたようなのだが、今までの自身の記憶の中でそのように倒れる程の病に見舞われたことなど一度も無い私は、その経緯に唯々驚いている。

 あれほど長く臥せっていた記憶も他には無い。
 そういえば、あの微睡の中で、とても安心できる何かに包まれていた気がする。
 暖かで……、でも何か靄のようなものがかかっていて、直ぐには思い出せそうにない。
 それが何であったかを今となっても認識できないのは、やはり後になって分かったと言う原因が特殊な病による発熱のようだから、その後遺症なのだろうか?
 自身の事なのにはっきりと分からないと言う事に釈然としない思いを抱えながら、もしかして最近の体調不良の原因は、その事によるストレスが絡んでいるのかもしれないと言う想いに駆られて来る。
 これが解消される日は、近い内に訪れるのだろうか?

★押して頂けると励みになります

にほんブログ村

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第10話 仮装舞踏会への誘い 】へ
  • 【婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第12話 伝令より届けられしも】へ

~ Comment ~

NoTitle 

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
( `・∀・´)ノ


ふ~~。
年末年始の仕事が終わって、ようやく正月休み。。。
…という感じですね。
職場から「年末年始は毎日いますね。」
・・・と言われてしまった(笑)。
私にとっての正月やすみは3が日が終わった後ですね。


仮装舞踏会か。。。
所謂、ダンスということになるのですが。
着飾って、おしゃれして楽しむのも面白そうですね。
今の私には無縁の生活だな。。。
( 一一)

LandM様 

今晩は。
返信遅くなりました。
今年も宜しくお願い致します。

私は年末ギリギリ。年始も1日仕事に出て4日から普通出勤で、年明けは何かと行事も多くて土曜も毎週出勤、祝日も出勤で、土日祝休み契約が殆ど流れているうえに、また14日に新入所者対策会議が入っていたり……。この時期、急変して緊急搬送する利用者様も多い時期で、入れ替わりも多いからなんかバタバタしています。

普通の仮装舞踏会なら楽しそうですね^^
私も舞踏会とか無縁の生活だし、先ず社交的ダンスは全く踊れません(笑
優雅とは無縁の……、毎日走り回ってます(実際には走れませんが、気持ち的に^^;)

コメント、有難うございました。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第10話 仮装舞踏会への誘い 】へ
  • 【婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第12話 伝令より届けられしも】へ