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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第13話 彼女に何が起こっているのか?

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 幼少期、身体の弱かった私は、7歳の頃から剣術の稽古を始めるようになると、段々と寝込むことが無くなって行った。
 その経緯から、今でも時間が許せば週に3度は欠かさず夕方から鍛練に通っている。
 今日は幼少期より色々と教わってきた彼女の父親である騎士団統帥本部長が、夕方の会議の後でよければ少し手合わせをしてくれると言うので、鍛錬場で待ちながら他の者と軽く打ち合っていた時の事だった。
 突如、扉が荒々しく開け放たれた。

「警務騎士団第4部隊、緊急出動だ!」

 気迫に満ちた声音が響き渡り、騎士たちに鋭い視線が向けられる。
 私の相手をしてくれていた者が踵を正し一礼すると、声のもとへと駆けて行った。
 どうやらその部隊に所属している者のようだ。

「殿下、申し訳ございません。この埋め合わせはまた後日」

「ああ、構わない」

 こちらに目を向け一礼する警務騎士団長の姿は、何時になく気迫に満ちていた。

 (何があったのか?)
 
 目の前で高まって行く気迫に満ちた騎士らの姿に興味を覚え、少し離れた位置から様子を伺った。
 汗を拭くふりをして、少しずつ近づきながら聞き耳を立てていると、何処かの夜会で何かが起こっているという内容が聞こえて来た。
 夜会と言えば、最近良くフィフィが妹に付き合わされて出かけている。
 まさかとは思いつつも、彼女が出席している場所で何かあったのではないかと胸騒ぎを覚えていると、何時になく彼女の父親が苛立っているように感じられてハッとする。

「ボナベスト師団長、先に出るぞッ」

 彼とはかなり長い付き合いになるが、いつもとは全く異なる余裕無さげな姿に、瞬時に彼の娘に何かがあったのではないかという事を察知する。
 それはあの妹なのかフィフィなのか?
 私は生唾をゴクリと飲み干すと、慌ててその後を追い駆けた。

「ローゼリアン統帥本部長ッ!」

「殿下……」

「……まさか、フィフィアナ嬢に何かあったのか?」

「これは我が騎士団が解決すべき事案です。殿下におかれましては余計なことに首を突っ込まれるようなことをなさらず、速やかに自室にてお過ごし頂けますようお願い申し上げます」

「何かあったのだな!?」

「殿下、後程ご報告に参りますので……」

「フィフィが関わっているのならば、これは騎士団だけの問題ではない!彼女は私が唯一の妃にと求めている存在。もし、私の知らぬ間に、後で彼女に何かあったと分かったら……、相手が父親であっても、私は伯を絶対に許さないからな!」

 必死なる私の訴えに、彼女の父親は苦笑いを浮かべると、小さなため息を一つ溢した。

「……辛辣な思いに駆られる事も、あるやもしれませんよ?」

 その言い回しに、胸騒ぎを強くした。

「そんなことは関係ない!もし、フィフィに今何かが起こっていると仮定して……、それが例えどんなことであったとしても、知らないで済ませる事の方が私は一番辛い!」

 思わず口から零れ出た言葉。
 このまま放置されてしまったら、私はおそらく何も手につかなくなるに決まっている。

「……分かりました。ですが単独行動だけは慎んでください。それと、殿下のその身なりは目立ちすぎます」

「……えっ?」

「こちらへ」

 そう告げると彼女の父親は、鍛錬場へと再び足を向ける。

「師団長、殿下も同行する。黒騎士仮面の衣装一式を貸してやってくれ」

「了解です、閣下」

 私は慌てて、警務騎士団長の許へと駆け寄った。

「よろしく頼む……」


 何が起こっているのか?
 警務騎士団が緊急出動するのだ。危険が伴っていない訳が無い。
 それに、伯のあのような態度はいまだかつて見た事が無かった。

 わが愛するフィフィアナに、きっと何かが起こっているのだ!
 状況が全く分かっていない状態での不安と苛立ち。
 私は心配で、胸が張り裂けそうだった。

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~ Comment ~

NoTitle 

私も子どもの頃のスイミングを未だにやっているな。
一時期、20代の頃は辞めていたのですが。
30代になって、身体がなまってきて、
仕事にも支障をきたしそうだったので、スイミング&ジムを再開。
やっぱり子どもの頃にやってた運動って大切なんだな。
ってよく思います。

恋は盲目。
・・・とはよく言ったものですが。
そういう心情をよく表せているなあ。。。
・・・と思う文章表現豊かな恋多い小説で
いつも勉強になっております。

もう息子さんの受験も終わる時期なのですかね?
母親として、上の世代も下の世代の世話をしないといけないし。
そこに仕事があると思いますので。
大変だと思います。
ご自身のお身体もご自愛くださいませ。
m(__)m

LandM様 

今晩は。
おお!スイミングは良いですね。
私は学生時代テニスをしていて、社会人になってやめていたんですが30前にテニス始めて結婚後も息子が5歳になるまでやっていましたが、今は忙しさにかまけて何もしていませんが、何かしなきゃいけないとはそろそろ思ってます^^;

恋は盲目!
うちの子たちは結構突っ走ってますね(笑)
そういう恋愛描写は大切にしているつもりなので伝わっているようで良かったです^^

息子の受験、やっと終わり、その足で新しい自転車買いに行きましたw
13日が合格発表で、その後今度はスマホを買いに。
色々今度は買い物に追われ、万札が羽が生えて飛んでいく予定です^^;

いつもコメント有難うございます。
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