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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第17話 彼女の残した痕跡(殿下視点)

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 プロムナード伯爵邸の門前に到着し、ローゼリアン統帥本部長が何処から入手したのか招待状らしきものを手に門番に入場許可を求めている時だった。
 屋敷の中から、猛スピードで駆けてくる馬車に遭遇した。
 何事かと目を凝らした瞬間、見覚えのある馭者の姿に驚愕を覚えた。
 自らの邸の者だと認識した統帥本部長は、すぐさま行く手を阻み馬車を引き止める。

「ステアント! 何かあったのか!?」

「ああ、旦那様ッ、大変なのです! お嬢様っ、フィフィアナお嬢様がぁ……」

 その言葉に、私はかつてないほど身を硬くした。

「おっ、お父様!?」

 馬車の中から顔を覗かせるのは、彼女が護衛していた筈の妹の姿。
 その表情は青ざめ、小さく震えていた。

「シルビア! 何があった? フィフィアナは……。どういう事なのだ!?」

「ああ、ごめんなさいお父様。私が馬鹿だったの……。おっ、お姉様は私を助けようとして……っ」

「フィフィに何かあったのか!?」

「でっ、殿下ッ!?」

 私の姿に、彼女の妹はとても驚いた表情をしていた。
 当然だ。
 通常王族が、このような場に同行する事は在り得ない。

「まさかとは思うけど、フィフィを見捨てて自分だけ逃げて来た訳じゃないよね? もしそうだったら、私はお前を絶対に許さないッ!!」

「でっ……」

 怒号にも似た私の強い言葉に、馬車に備え付けられている真っ赤なビロードのカーテンにしがみ付き、彼女の妹は身をさらに震わせていた。

「殿下、お怒りは全てこの私に……。全て私の監督不行き届きでございます。お叱りの言葉は後で幾らでもお聞きしますゆえ、ここはどうやら不測の事態。とにかく中へ急ぎましょう」

 馭者から何らかの情報を得たらしい統帥本部長から、先へと促され大きく頷く。

「戻るぞ。シルリル、我等も同行する。中で出来るだけ明確に事情説明をしなさい!」

「っ……、はっ、はい!」

 彼女の父である統帥本部長と馬車に乗り込むと、元来た道へと急ぎ走らせた。


 馬車の中で、まだ少し震えている彼女の妹から、懸命に幾つかの話を聞き出す。
 現在彼女はある紳士と応戦中で、更にはこの妹を庇い何かの液体を顔に噴きかけられたと言うのだ!

「それで、様子に変わりは無かったと言うのか?」

「はい……。私には普段と変わらない姉さまに見えました」

「暴漢退治用に貴族の令息が良く携帯しているスプレーを瞬間的に牽制の為に使用したと言う訳でも無いのであれば一体……?」

「状況からして効果のないものを安易に顔に目掛けて噴射するとは考えにくい。おそらくは時差的な効果を期待しての事でしょう」

「では、今頃フィフィは!?」

「おそらく、何らかの症状が少なくとも徐々に現れている可能性は、非常に高いでしょう」

「……それが、まさか例の薬(モノ)……と言う可能性は?」

「取引リストの中に、ある種の配合により高濃度の吸入物となり得る効果の強いものがありましたので、今回のパーティに関する娘からの情報から示唆します限り、その可能性は否定できません……」

「くそうッ!!」

 もし、予測するようなものならば……、徐々に呼吸は乱れて来るだろうし、おそらく応戦どころでは無くなって来るはずだ。
 それに高濃度の物ならば、じきに色んな意味でかなり辛くなって来る事も考えられる。

「……フィフィアナと別れてどれ位経つ?」

「わっ、わからないわ……、でも、多分20分ぐらいは……」

 吸入効果が得られるものに即効性は少ないとは聞くが、徐々に効果は自然と現れ30分もあれば平素でいられ保証は何処にもない。じわじわと神経を刺激させる効果が癖となり、最近では一部でそのようなものの流用者が増えて来ている傾向にあるという事も先程聞いたばかりだった。


 馬車を降り、最後にフィフィと別れたと言う場所へと急ぎ彼女の妹に案内をさせた。

「ここよ。確か、ここでお姉様と別れたの。彼と応戦していて……っ」

 だが既に、そこに彼女の姿は無かった。

「何処に行ってしまったんだ……。フィフィっ」

 仮装し後を追って来た騎士団の面々に次々と指示を出すローゼリアン統帥本部長の姿。


「殿下には、私と行動を共にしていただきます。決して一人になりませんように」

「分かっている」

「先ず何か手がかりを探しましょう。あれも騎士の端くれです。徐々に薬の効能が現れているのであれば、何か手がかりを必ず残していてくれる筈です。先ずはそれを探りましょう」

 目を皿のようにし、彼女が応戦中だったと言う場所周辺をくまなく捜索していると、やがて統帥本部長がある事に気付いた。

「流石は私の娘だな」

 そこには数メートル毎に居室へと続く、まだ幾分湿り気の帯びた薄い血痕とおぼしき痕跡が認められていた。

※おまたせしてスミマセン。ぼちぼち更新します。

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~ Comment ~

NoTitle 

パーティーとお薬はセットになりがちですからねえ。。。
まあ、お酒みたいな合法的なものなら?
ってところはありますけど。
高揚感を得たいためにパーティーに行くっていうのは
古今東西あるってことですよねえ。。。
今ではかなり取り締まりは厳しいけど、
それでもやる人はやる。。。
難しい問題ですね。。。
(>_<)

LandM様 

今日は。返信遅くなりました。
会議や実習が多くなりバタバタしてました^^;
変な輩は何処にでもいますからね……。
法の目をかいくぐり、悪い奴らはのさばるものです。
色々と風呂敷を広げすぎると、回収するのも大変ですが……、じみちに頑張ります!(笑)

いつもコメント有難うございます。














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