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ファンシーの扉

オリジナルの王道恋愛ファンタジーを中心とした小説です。最後にはホッと出来る物語作りを目指しています。(R設定がある時は冒頭に記します。独自の判断でご注意ください) 尚、過去の作品については『◆ALL』をご覧頂きページの下の方にあります「Next」を押すと過去の作品まで全がご覧頂けます。作品のキーワード検索も『◆ALL』ページ左上よりご利用頂けます。

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第13話 彼女に何が起こっているのか?

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 幼少期、身体の弱かった私は、7歳の頃から剣術の稽古を始めるようになると、段々と寝込むことが無くなって行った。
 その経緯から、今でも時間が許せば週に3度は欠かさず夕方から鍛練に通っている。
 今日は幼少期より色々と教わってきた彼女の父親である騎士団統帥本部長が、夕方の会議の後でよければ少し手合わせをしてくれると言うので、鍛錬場で待ちながら他の者と軽く打ち合っていた時の事だった。
 突如、扉が荒々しく開け放たれた。

「警務騎士団第4部隊、緊急出動だ!」

 気迫に満ちた声音が響き渡り、騎士たちに鋭い視線が向けられる。
 私の相手をしてくれていた者が踵を正し一礼すると、声のもとへと駆けて行った。
 どうやらその部隊に所属している者のようだ。

「殿下、申し訳ございません。この埋め合わせはまた後日」

「ああ、構わない」

 こちらに目を向け一礼する警務騎士団長の姿は、何時になく気迫に満ちていた。

 (何があったのか?)
 
 目の前で高まって行く気迫に満ちた騎士らの姿に興味を覚え、少し離れた位置から様子を伺った。
 汗を拭くふりをして、少しずつ近づきながら聞き耳を立てていると、何処かの夜会で何かが起こっているという内容が聞こえて来た。
 夜会と言えば、最近良くフィフィが妹に付き合わされて出かけている。
 まさかとは思いつつも、彼女が出席している場所で何かあったのではないかと胸騒ぎを覚えていると、何時になく彼女の父親が苛立っているように感じられてハッとする。

「ボナベスト師団長、先に出るぞッ」

 彼とはかなり長い付き合いになるが、いつもとは全く異なる余裕無さげな姿に、瞬時に彼の娘に何かがあったのではないかという事を察知する。
 それはあの妹なのかフィフィなのか?
 私は生唾をゴクリと飲み干すと、慌ててその後を追い駆けた。

「ローゼリアン統帥本部長ッ!」

「殿下……」

「……まさか、フィフィアナ嬢に何かあったのか?」

「これは我が騎士団が解決すべき事案です。殿下におかれましては余計なことに首を突っ込まれるようなことをなさらず、速やかに自室にてお過ごし頂けますようお願い申し上げます」

「何かあったのだな!?」

「殿下、後程ご報告に参りますので……」

「フィフィが関わっているのならば、これは騎士団だけの問題ではない!彼女は私が唯一の妃にと求めている存在。もし、私の知らぬ間に、後で彼女に何かあったと分かったら……、相手が父親であっても、私は伯を絶対に許さないからな!」

 必死なる私の訴えに、彼女の父親は苦笑いを浮かべると、小さなため息を一つ溢した。

「……辛辣な思いに駆られる事も、あるやもしれませんよ?」

 その言い回しに、胸騒ぎを強くした。

「そんなことは関係ない!もし、フィフィに今何かが起こっていると仮定して……、それが例えどんなことであったとしても、知らないで済ませる事の方が私は一番辛い!」

 思わず口から零れ出た言葉。
 このまま放置されてしまったら、私はおそらく何も手につかなくなるに決まっている。

「……分かりました。ですが単独行動だけは慎んでください。それと、殿下のその身なりは目立ちすぎます」

「……えっ?」

「こちらへ」

 そう告げると彼女の父親は、鍛錬場へと再び足を向ける。

「師団長、殿下も同行する。黒騎士仮面の衣装一式を貸してやってくれ」

「了解です、閣下」

 私は慌てて、警務騎士団長の許へと駆け寄った。

「よろしく頼む……」


 何が起こっているのか?
 警務騎士団が緊急出動するのだ。危険が伴っていない訳が無い。
 それに、伯のあのような態度はいまだかつて見た事が無かった。

 わが愛するフィフィアナに、きっと何かが起こっているのだ!
 状況が全く分かっていない状態での不安と苛立ち。
 私は心配で、胸が張り裂けそうだった。

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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第12話 伝令より届けられしも

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 騎士団統合本部における自室にて、警務騎士団団長と今月の捜査報告と今後の対策や非合法的な団体等の一斉取り締まりについての予定を立てていると、我が屋敷から緊急と称する伝令の使者が来ていると言う知らせが入った。
 我が家での最近の心配事と言えば、身体の弱い長男の事と、最近社交界デビューをはたした二番目の娘が、好んで良く夜会などに出かけていると言う点だった。
 二番目の娘には騎士の称号を持つ一番上の娘が付き沿ってくれている事から、そう緊急的に問題は起こらないだろうと踏んでいたから、長男に何かあったのかと急ぎ伝令を呼び入れてみれば、予想に反する言葉が伝えられた。

「シルリル様が、フィフィアナ様がお止するのも聞かずに、お友達と約束してしまったからとプロムナード伯爵家で行われている舞踏会へと出かけられました。とりあえず同行するから旦那様にその旨を至急伝えよと……」

「何だと!?」

「閣下、プロムナード伯爵家と言えば、来月の予定リストに確か……」

「何か……、大変なお屋敷なのですか? お嬢様方は、大丈夫なのでしょうか、旦那様ッ」

 娘たちを心配する伝令の言葉は、今の私の心境そのものだった。

 プロムナード伯爵家は、先程警務騎士団団長と今後の一斉取り締まりについて名を上げた中でも最も重要視された名の一つ。
 特定の夜会を隠れ蓑とし、催淫性の高い薬物の人体実験を行っていると言う密告を受け調べてみれば、事実、国で認められていない濃度の高い薬物を秘密裏に国外から仕入れている事が分かった。 
 現段階でも引っ張れない事も無いのだが、それでは根本的な解決にはならない。
 ならばここまでの調査で浮かび上がった数名の常習者から、隠れ蓑となっているらしい特定の夜会を見定め照準を合わせようという事になった。
 そこで出席者の事実確認が取れれば、少なくとも聴取の為に連行は出来るだろうと言う話しになっていた。
 来月には内々的に開かれる夜会があるとの情報を入手し、確実性を得る為の一斉取締の計画したばかりだった事から、伝令から話を聞いた瞬間、私の手からは大量の汗が滲み出る。
 まさか我が娘がそのような屋敷に出入りしているとは露程も思っておらず、焦りを覚えたのは疑いようのない事実だった。
 詳しくは伝えてはいなかったが、良い噂の聞かない屋敷の情報は、常に付き沿ってくれている経緯から、上の娘には流してあった。
 本来ならば身内と言えども流すべき情報ではないのだろうが、そこは仮も上の娘は騎士団に所属している。
 幸か不幸か二番目の娘は社交性が高い。
 子供の頃から好奇心が旺盛で元気なのは良いのだが、年頃になれば親としての心配は尽きない。

 プロムナード伯爵家の潜入調査は、何らかの特異性を持つ夜会開催日が最適との判断を先程下した事から来月の計画に組み込んだばかりだったが、こうなってくれば話は別だ。
 好機の一つであることは事つであることは疑いようのない事実であるし、何よりも娘たちがそこには居ると分かった以上、ただこのまま手を拱いているだけと言う事は絶対に出来ないッ。

「中の状況が掴めない以上、簡単に踏み込むことは出来ないが、いい機会だ。調査班を数名潜らせよう」

「旦那様がいらしては下さらないのですか?」

「私がこの成りで、無暗に出向くわけには行かないだろう。それこそ怪しまれる。調査班の者ならばそれなりの相応しい服装も用意できるだろう」

「ならば大丈夫です。今日の夜会は仮装舞踏会です」

 伝令の言葉に、私は息を飲んだ。

「何だと!?」

「閣下!」

 今この瞬間に巻き起こっている可能性の高い、秘めたることを想像し、私の血の気が引いた。

「ボナベスト師団長!」

「はっ!」

「計画の変更だ。先ほどの話を繰り上げる。直ちに待機中の第4班を引き連れ、プロムナード伯爵家へ向かわせよ。私も後を追うッ!」

 私は、声を高らかに響かせ、宣言した。
 娘たちの無事を祈りながら……。

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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第11話 仮装舞踏会での出来事 

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 何も知らない妹は、プロムナード伯爵邸に到着すると、弾けるような満面の笑みを浮かべ馬車を降りる。

「うわぁー、何て素敵なの」

 煌びやかな白いドレスに透明の羽を身につけて妖精に扮している妹は、最初こそ、その場の雰囲気に魅了され飲み込まれていたが、元来の好奇心旺盛な性格を直ぐに発揮し始め、周囲に臆することなく溶け込んでいった。
 会場内では、場の空気に何かを感じ、常に妹に付かず離れずの位置を陣取りその様子を見守っていた。 
 普段より警戒心が働いているせいなのか、その日に限り声を掛けられる頻度も多く感じられ、中々気が抜けない。ベストな位置をキープすることが難しい状況だった。
 通常の夜会では、余裕をかまし壁の花を気取って観望に徹していられる時間も幾らかは見つかるのに、その日は中々気が抜けない。
 それでも、軽食を取っている時間だけは、ずっと傍にいるのも何処か不自然なので、壁の花に徹して見守っていると、普段とは違って在り得ぬ事態。
 先程から何度も断っていると言うのに、次から次へと珍しくも私を誘って来る殿方が後を絶たない。

「レディ、蝶は羽を広げて飛び立ってこそ美しい、一曲私とお相手を」

「結構です。蝶には羽を休める事も必要ですわ」

 傍に置いてある軽い飲み物を掲げながら、この手の背中が痒くなるような言葉を、私はこの日何度口にしただろうか?

 更には何度も断っていると、それが目についたのかずっと観望していたらしく、あからさまに別の切り口をきっかけにしようと話しかけて来る者まで現れた。
 物好きな。

「ずっと壁の花を気取っているようだが、何か理由が?」

「妹が心配ですの。もう可愛くて」

「過保護な姉上なのですね」

「ええ、自負しておりますわ」

「妹君は、どのご令嬢?」

「あの、白い妖精がそうですわ」

「ほーぉ。溌溂とした感じのお嬢さんのようだ」

「ええ。隣の孔雀も妹の大切なお友達ですの」

 隣に陣取る殿方に、牽制のつもりで少しきつめの表情を作り視線を送る。

「ああ、孔雀もですか? それは頼もしい!」

「えっ?」

「きっと、今宵はとても有意義な楽しいひと時を過ごして頂けると思いますよ」

 予想に反し、微笑を浮かべ、何処か含みのあるようにそう告げた殿方の眼差しに、何とも言えぬ違和感を覚えた。
 ここは気を引き締めてかからなくてはならないと、思ったまでは明確に覚えているのだが……、その後何が起こったのか?
 どうなってしまったかを、私は全く覚えていなかった。

 父の話では、おそらくあの後、流感性の高熱らしき症状に突如みまわれ、具合が悪くなり倒れたのだそうだ。
 救護所に運ばれている所を駆けつけた父知る所となりそのまま屋敷へ連れ帰り、数日間臥せっていたようなのだが、今までの自身の記憶の中でそのように倒れる程の病に見舞われたことなど一度も無い私は、その経緯に唯々驚いている。

 あれほど長く臥せっていた記憶も他には無い。
 そういえば、あの微睡の中で、とても安心できる何かに包まれていた気がする。
 暖かで……、でも何か靄のようなものがかかっていて、直ぐには思い出せそうにない。
 それが何であったかを今となっても認識できないのは、やはり後になって分かったと言う原因が特殊な病による発熱のようだから、その後遺症なのだろうか?
 自身の事なのにはっきりと分からないと言う事に釈然としない思いを抱えながら、もしかして最近の体調不良の原因は、その事によるストレスが絡んでいるのかもしれないと言う想いに駆られて来る。
 これが解消される日は、近い内に訪れるのだろうか?

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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第10話 仮装舞踏会への誘い 

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 今頃になって、あの日の話を持ち出して来るなんて、何か実は不手際でも?
 いや、そんな筈は無い。
 父があの時、病床に臥せっていた私に『何事も無く無事に事は片付いたから心配はいらない』と言ってくれた。
 あの父が、私に嘘などつく筈が……。

 しかし、今思い出してみても、あの日は散々だった。
 夜勤明けに残業までし、クタクタになりながら昼前に帰宅すると、妹から記憶違いの約束をしたらしき要件に付き合わされる羽目になったのだから――。


「お姉様。私、仮装舞踏会に行ってみたい!」

「仮装舞踏会?」

「行っていいでしょう?」

 その時は、王宮主催で開かれる年に一度の仮装舞踏会に連れて行ってほしいと言うおねだりだと思っていた。

「お姉様、また護衛を宜しくね」

 どうせその日は元から護衛……。
 王宮で催し物が開かれる日は、護衛騎士団に休みなど無い。きっと大忙しの一日となるに違いないとは思ったが、とりあえずは公的任務で監視可能体制にあるのだから、現実を捉えながらも護衛の了承を緩く生返事した記憶があった。
 
 とにかく、もう疲労困憊で……。
 早く睡眠を貪りたかった私は、話を適当に聞き流した後、食事もそこそこに布団に潜り込んだのだ。
 そして、睡眠を貪る事4時間を過ぎた頃、妹から叩き起こされた。

「お姉様起きて! 早くお支度しないと遅れちゃうわ」

「んっ……、なによシルリル……」

「舞踏会は午後6時からなのよ!」

「……えっ?」

 まだ頭がぼんやりとしている中で、妹が用意したと言うモンシロチョウをイメージさせた黄色いドレスに着替えさせられて……。

「……この背中の羽……邪魔なんだけど……」

「当り前よ、蝶だもの。ちなみに私は妖精よ。伯爵様直々のお誘いですもの。しっかりと着飾って出かけなくちゃ」

「……伯爵様直々のお誘いって、何処の伯爵よ。そんな知り合い貴女いたの?」

「マグリットの知り合いなのよ。お友達も是非ご一緒にってお誘い頂いたから、一緒に出掛けるってお返事しておいたわ。プロムナード伯爵様のお屋敷なのよ」

その名を聞いて、私は息を呑んだ。

「シルリルそれはダメ! 今夜の舞踏会には行かないわよ。中止よ、中止!」

「嫌よ!! やっと手に入った招待状なのよ。それにもうマグリットは出かけてる頃よ。今から連絡なんて取れないわよ」

 入手経路のマグリット・ムハナム男爵令嬢は、この頃できた妹の仲良しの令嬢の一人だった。
 とても社交性があり妹とも話が合うらしく、これからも付き合いは長くなっていくであろうと思われている令嬢だった。
 だが、その令嬢が何を介してそのような夜会を知り得たのか?
 理由は分かる筈も無く、私はある事に思いを巡らせた。
 その屋敷で、近々警務騎士団の潜入捜査が行われると聞いていた件について……。
 とてもそのような場所に、妹を行かせられない。
 だが、騎士団の内部事情を妹に話す訳にもいかず、結局私はそれに同行し出かける事となった。
 そうでもしなければ妹は私を振り切ってでも行く勢いだったからだ。
 しかし仮装とは、なんと動きにくいものなのか……。
 これでは護衛するにもリスクが伴いそうだ。
 妹を護衛しながら、その親友のムハナム男爵令嬢にも目を配らなければならないなんて、とてもこの状況で出来そうにない。無理だと思った。
 そこで苦肉の策として、私はまだ帰宅していない現在騎士団統帥本部長の職にある、父に向って伝令を飛ばす事にした。
 何もなければそれに越したことはないが、もしもの時の為に……。

「お姉さま、早くぅ」

「ごめん。直ぐだから」

 家令に用件を伝えると、私は急ぎ妹の待つ馬車へと乗り込んだ。

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婚約者候補筆頭なんて知りませんッ 第9話 記憶の扉をこじ開けてみよう 

婚約者候補筆頭なんて知りませんッ

 満を侍して吐き出した言葉に、彼女は盛大に小首を傾けると少し考え込んでいるようだった。
 そして、やがてその口から吐き出された言葉は、私の求めた返答からはかなり遠いく……。

「子供には普通……、両親は必要ですよね?……って言うか、両親は、うちにもいますし……」

「……そりゃいるだろう。私もよぉーく知っているし、私にも親はいるよ」

「……ですよね?」

 ……全く話が通じていなかった。

 確かに身体の不調には気付けても、それに至るまでの経緯の記憶を失っているのだ。
 この時点から実際の体調不良の原因を、想像するには難しいものがあるのかもしれない。
 なんと言っても相手は事恋愛ごとに関しては、自身の気持ちは愚か、かなり鈍感そうな相手だ。
 まだやはり、ここまで聞く時期では無かったのかもしれないと、直後に思い直す。
 ならば今の私が彼女にしてやらなければならない事は何なのか?
 これから二人の未来の為に、私は何をしなければならないのか?
 そう考えた時、そろそろ私も覚悟を決めるべきだと思った。

「フィフィは、やはり妹弟(きょうだい)から離れるべきだ」

 今回の全ての原因は、彼女が妹シルリルに振り回されて来た事が発端となっている。
 私が事態を聞きつけて直ぐに出向いたことで最悪の状態は免れる事が出来たが、もし駆けつけていなければ、今頃私は彼女を永遠に失う事にもなっていたかもしれない……。
 今でもその事を思い出せば、震えが止まらなくなる。

 だが、その時の状況と私達のあの時の気持ちなど、知る由もない今の彼女は、当然私の提案を否定する筈。
 私との未来を捨てて、いとも簡単に家名と家族の為となると信じて今の道を選んだ彼女だ。
 そんな彼女が簡単に可愛い妹を切り離せる行動をとれるとは到底思えないが、ここは分かって貰わなくてはならないと話してみたのだが、結果はご覧の通りだ。

「そんなの余計なお世話です!」

 やはり容易には聞き入れてくれそうもなかった。
 けれど、残された期日はあとわずか。
 私だって、もう後には引けない!
 ならば思い出した所で彼女にとっては辛い出来事であったとしても、記憶を辿って行くしか無いのだ。

 もしも、それで、彼女が全て……とまでは行かないまでも、状況を理解できる所まで思い出してくれる可能性が、少しでもあるならば……。

 必ずしも辛いものばかりでは無かったと、心の何処かで思ってもらえるものと信じたいッ。
 そうなれば私はきっと……。心のままに彼女を手に入れる事が出来る筈。

「フィフィは、2週間程前にプロムナード家で開催された、夜会に行った事を覚えている?」

「勿論よ。妹に誘われて護衛に付き合わされたわ」

「では、そこで起こった出来事等は?」

「仮装して出かけさせられて……。仮面舞踏会……だったかしら? その他には確か……」

 出鼻から既に記憶の中に曖昧さも残るようだが、彼女は完全に……、全ての事を忘れ去ってしまっている訳では無さそうだ。
 何処まで覚えているかは分からないが、誘導により、少しでも多く記憶が蘇ってくれる事を信じたい。

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プロフィール

風波 涼音

Author:風波 涼音
オリジナルの王道恋愛ファンタジーを書いています。(ハッピーエンド推進)〇〇年振りに執筆を再開しました。少しずつ自分のペースで書いていきたいと思います。

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